『Hot Pepper ミラクル・ストーリー  リクルート式「楽しい事業」のつくり方』   平尾勇司 著

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方


【所感】
「事業開発」の流れで、新規事業開発の上手なリクルートのケースとか知りたいなぁ、と思ってたところで出会った一冊。

・本書は、著者が、低迷する360事業のトップに任命されてから、成功するまでの”物語”。なので、新規事業の立ち上げ物語というよりも、低迷する事業の改革物語といった感想。もしくは、帯にあるように、「これは、とてもシンプルでわかりやすい、経営組織の指導書」という感じかも。内容としては、時系列で、やった事、起きた事を、物語で臨場感たっぷりに語ってくれてる。ケースを読むときの醍醐味の一つは、この臨場感にあるので、その意味で満足。

ホットペッパーの前身にサンロクマルってのがあったのなんか知らんかった。

・フリーペーパー型狭域クーポンマガジンという新ビジネスが生まれる企画会議とか、企画段階や意思決定段階での試行錯誤が知りたかったので、前身のサンロクマルがすでにありきで始まる本書は、物足りず。この成功後、リクルートは、タウンワーク、タウンズ、R25、L25とフリーペーパーの横展開を本格化していったのもあり、そこらへん知りたかったところ。



【事業再生の特徴】
・打ち手 : 当たり前の事を当たり前にやっていけるようにするパターン。ドラマとして面白いからか、媒体側よりも営業側での話しが多い。媒体側も大きく変わってると思われるが、そっちへの言及が少ない理由は不明。(企業秘密か。)特徴的なのは、次の3つ。とりわけ、2と3は、リクルートっぽいという感想。ケースや打ち手のパターンとしては、「インサイドアウト」に近い印象。
      1.版元や営業マンの成功事例の横展開
      2.施策に印象的なネーミング
      3.コミュニケーション・モチベーション といったところ。

・大変だったろうポイント : 次の3つのポイントがそのまま打ち手の特徴に反映されてる気もする。
      1.数十の版元が全国に散らばっており、現場とのコミュニケーションや意思統一
      2.それまで低迷してた事業の建て直しの入り口にあたる意識改革を1の環境下で行うこと
      3.社員ではなく時限のある派遣社員や業務委託社員が多数であったこと

・有利だったろうポイント :
      1.単一事業のトップであり、その単一事業の建て直しがミッションだったので、
        事業撤退のタイミングを気にせず改革に集中できたこと
      2.(比較的)札幌で成功事例があったため、サービス自体の市場性に期待ができたこと
      3.競合がいない、もしくは、小さかったこと。



【目次】

   はじめに − いまだ見ぬものを見に行く冒険

   第1章 『ホットペッパー』の本当のすごさ

   第2章 『ホットペッパー』とはいったい何なのか?

   第3章 失敗が教えてくれた11の警告
         1 「できない」理由を上手に説明している(4)
         2 大阪と札幌はどこが違うのか?(3)
         3 組織図にはすべてが表れる(4)

   第4章 事業立ち上げの仕組みづくり
         4 ”札幌のカレーは大阪のカレーの3倍も高いのか?”
         5 剣道には小手・面・胴しかない
         6 森を見て、木を見て、枝を知る
         7 戦略じゃない、物語を聞きたい
         8 それは俺のことか?
         9 お前はメンバーを全員殺す気か
        10 制度に合わせて事業をやるのか?

   第5章 急成長のキッカケとそのしかけ
        11 版元長飛び込み大会
        12 この大宮版を廃止する
        13 インデックスなんかいらない
        14 断じて、サマフェスを実施する
        15 ぶち込んで使わせろ

   第6章 顧客接点づくりの仕組み化
        16 「このまま、路地裏のちっぽけなお店のままでいいよ」
        17 次のメニューは何にしたらいいの?
        18 吉田の「何屋プチコン

   第7章 セオリーに反する営業の仕組みづくり
        19 一人屋台方式
        20 バードビュー
        21 七福神お届け営業
        22 5分間ロープレ

   第8章 マネジメント・リーダーの育成
        23 組織の風景
        24 女に嫌われる男の5つの条件

   おわりに − 申し訳なく、残念です。