『発想する会社! 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』   トム・ケリー/ジョナサン・リットマン 著

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法


【所感】
・結構、かかって、12時間くらい。内容も平易で、翻訳も読みやすくて、中身にも興味あったのに、結構かかった。言い訳的には、上下2段で、結構、文量があったから、くらい。

・事業開発の流れで、まだ、全体像とかを構想してる段階なので、デザイン系はちょっと早いかな、とも思ったけど、今の段階で読んで良かったと思う次第。タイトルにあるように、世界最高のデザイン・ファームであるIDEOをもってしても、現場でのやり方というか発想の仕方だけではなくて、大きな準備があるから、あーいった偉業を為し続けていくことができるんだな、っと。

・上下2段が同じというのもあるけど、「ペルソナ作って、それからどうするの?」と同じラインというか、前段として、こっちを導入的に読んで、その後、IDEO流儀日本版というか、歴史的な事項、(IDEO流の)周辺的な部分とか、実務への落としこみとかの、より詳細な解説で理解する、という段取りがベターな印象。そういう意味では、順番、間違えたかも。ま、また、「ペルソナ作って、それからどうするの?」を読めばいいんだけど。

・例のごとく、事例がアメリカのが多い。が、それぞれの事例について、解説や写真が豊富なので、知らない事例でも、文脈を切ることなく、理解できて、翻訳版にしては、珍しいパターン。逆に、事例が豊富≒各論に集中してしまって、全体像が見えなくなることが多くて、自分の集中力の無さというかメモリーの小ささを痛感。



【IDEO流の全体像とか構成とか】
    現場での発想・イノベーションの類型:8章〜14章
    イノベーションプロセス(1章):理解・観察(3章)→ブレスト(4章)→試作(6章)
    人事・チーム:5章
    ファシリテーション(オフィス):7章
こんな感じか。イノベーションを生み出す仕組み、プロセスとそれを支える人事やファシリテーションまでの一貫性が、さすが!という印象。



【目次】

   第 1章 イノベーションの頂点
   第 2章 草創期の翼で飛び続ける
   第 3章 イノベーションは見ることから始まる
   第 4章 究極のブレインストーミング
   第 5章 クールな企業にはホットなグループが必要だ
   第 6章 プロトタイプ製作はイノベーションへの近道
   第 7章 温室をつくろう
   第 8章 予想外のことを予想する
   第 9章 バリアを飛び越える
   第10章 楽しい経験をつくりだす
   第11章 時速100キロのイノベーション
   第12章 枠をはみだして色を塗る
   第13章 「ウェットナップ」インタフェースを探して
   第14章 未来を生きる
   第15章 完璧なスイングを身につける

   第 1章 イノベーションの頂点 (全体像の紹介)
           イノベーションという十種競技
           熱狂へのステップ
              1.理解
              2.観察
              3.視覚化
              4.評価とブラッシュアップ
              5.実現
           イノベーションの過程をテレビで見せる
              ディープ・ダイブ
              クリエイティビティの幕をあげる
           クリエイティビティとイノベーションを築き上げる

   第 3章 イノベーションは見ることから始まる
           自分自身で見つけ出す
           バグ・リストをつくる
           現場に身を置く
           ばかげた質問などない
           左利きの人の身になる
           観察からインスピレーションを得る
           無茶な使い方をするユーザーにも対応する
           ルールを破る人々を見つける
           相手は人間だ
           観察の練習
           イノベーションを半分だけ採り入れる
           「名詞」でなく「動詞」で考える
           他家受粉させる
           ヒーローを誕生させる

   第 4章 究極のブレインストーミング
           よりよいブレインストーミングのための7つの秘訣
              1.焦点を明確にする
              2.遊び心のあるルール
              3.アイデアを数える
              4.力を蓄積し、ジャンプする
              5.場所は記憶を呼び覚ます
              6.精神の筋肉をストレッチする
              7.身体を使う
           ブレインストーミングの効果
           ブレインストーミングを台無しにする6つの落とし穴
              1.上司が最初に発言する
              2.全員がかならず順番がまわってくる
              3.エキスパート以外立入禁止
              4.社外で行う
              5.ばかげたものを否定する
              6.すべてを書きとめる

   第 5章 クールな企業にはホットなグループが必要だ
           孤独な天才という神話
           ホット・グループをつくる
           ホットなスタジオ
           自らエネルギーを生み出す
           情熱という要素
           障害の中の機会
           新しい使命をおびて
           チームによる問題解決
           チームは狭い場所に
           適切な混成チーム
           「彼ら」は存在しない
           チームと信頼
           なぜチームは個人に勝るのか
           ホット・チームは成し遂げる
           ホット・チームは与える
           ホット・チームは分け合う
           チームの士気
           ホット・チームは出会う
           ホット・チームは見た目から
           ホット・チームには個性が必要
           ホット・グループのための8つの風変わりな個性
              1.預言者
              2.トラブルシューター
              3.因習破壊者
              4.人の心を読む人
              5.職人
              6.テクノロジー・マニア
              7.企業家
              8.ちがうタイプの服を着こなす人

   第 6章 プロトタイプ製作はイノベーションへの近道
           水位の上昇
           子供の仕事
           つくって学ぶ
           アマゾンのやりかた
           幸運をつくりだす
           プロトタイプは写真に勝る
           一歩ずつ
           まずいアイデアを最初に撃つ落とす
           アップルのやりかた
           議会のことは忘れよう

   第 7章 温室をつくろう
           身の周りの環境を築く
           プロジェクトについて考え、人について考える
           ブロックを積み上げる
           マイナス条件からインスピレーションを得る
           スペースのプロトタイプをつくる
           チームのシンボルをつくる
           ボディランゲージに着目する
           チームのためのシンプルなスペース
           序列はクリエイティブなスペースの敵
           従業員に眺望を与える
           物語を語る
           がらくたに歌を歌わせる

   第 8章 予想外のことを予想する
           アクシデントを成功に結びつける
           予想外の成功、そして失敗
           タイミングのよさも味方になる
           敏速な対応
           斜にものを見る
           他家受粉の力を活用する
           種まきの7つのヒント
              1 雑誌の講読とネットサーフィン
              2 映画監督になる
              3 一般公開する
              4 さまざまな主張に耳を傾ける
              5 アウトサイダーを雇う
              6 ちがう人間になってみる
              7 2職種以上の仕事ができるように訓練する

   第 9章 バリアを飛び越える
           境界を観察する
           頑固にメートル法を拒むアメリカ人
           障害をよける
           心理的な障害
           特許出願中
           水門を開く
           基本のスキル
           アフォーダンス − 歓迎の握手
           慣例による見返り
           粘り強い伝道
           アル・ゴアと走る

   第10章 楽しい経験をつくりだす
           小さなサービスの積み重ね
           経験を面白いものにする
           ラスヴェガスから学ぶ
           人間のつながりをつくる
           物語を語る
           ほころびを修復する
           生命を救い、旅をする
           サービスを再考する
           ささやかな経験が重要

   第11章 時速100キロのイノベーション
           仕事のように取り組む
           一発逆転の奇跡
           より速く到着する

   第12章 枠をはみだして色を塗る
           失敗は成功への早道
           大の大人が小さなマウスを恐れる
           新しい乗り物をつくる
           大空の勇者
           大きく成長しつつ小さく行動する
           仕事の殻を破る
           ルールを破ったリナックス
           与えて受け取る
           枠をはみだして色を塗る
              イグルー・シューボックス・セフォラ・ターゲット
              ・スウォッチ・eシュワブ・ラバーメイド
           はみ出しすぎは禁物

   第13章 「ウェットナップ」インタフェースを探して
           機能のつめこみと戦う
           シンプルな指示を与える
           フリスビーのようにシンプル
           手で触れる
           思いきりやれ
           もっとよいマウスをつくる
           すばらしい製品やサービスを生み出す方法
               1.入りやすい入り口をつくる
               2.発想をうながす具体例を探す
               3.ブリーフケースを考える
               4.色のインスピレーション
               5.舞台裏を見せる
               6.クリックは二回よりも一回の方がいい
               7.ミスを許容する
               8.傷つけないことが第一
               9.チェックリスト
              10.すばらしいおまけ

   第14章 未来を生きる
           未来のある玩具
           人の能力を高める製品
           コンセプトカーをつくる
           映画の予告編をつくる
           未来について読む
           プロジェクト2010

   第15章 完璧なスイングを身につける
           決断のとき
           ギブ・アンド・テイク
           練習場で球を打つ
           採用と応用