『リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術』   高城幸司 著

リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術 (日経ビジネス人文庫)

リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術 (日経ビジネス人文庫)


【所感】
・さっくり3時間弱で読了。

・新規事業開発の勉強の流れで、企業内起業とか事業開発組織のあり方とか、業務プロセスとか、新しきを生み出す苦悩とか。他部署や経営陣との軋轢とか、そういった事例と現場感を知りたくて、こういうときは、リクルートのケースが一番と思い、「Hot Pepper ミラクル・ストーリー」 を読んでみたら、自分が知りたいことの後工程が主たる内容で残念だったことの、リベンジで、本書に至った次第。

・内容としては、個別案件のケースというよりも、リクルートというケースのまとめという感じ。でも、というか、それが、期待に近くて、満足度高し。知りたかったところが、丁度纏められてるという印象。リクルート本は、「リクルートのDNA」「Hot Pepper ミラクル・ストーリー」に続いて、3冊目なれど、一番、リクルートの強さや特徴が纏まってる、かも。「DNA」は時代的に、江副さんが軸なので、創業期に重心があるし、「Hot Pepper」は、Hot Pepperが軸というか、それだけ。本書の著者は、江副社長時代に入社してから2005年に独立するまでの20年間リクルートで勤務してて、その間に学んだことをまとめた本だけに、丁度良かった。

・大枠として、今まで読んできた事業開発とか新規事業とかイノベーション関連の本に書いてあること、書いてある”べき論”が、リクルート社は、着実に実行されている組織という印象。もちろん、表面的な仕組みだけでなく、その背景には、歴史や、それを善しとする社風があるのは、本書でも、何度も触れられているところ。

・総じて、著者のリクルート社への愛に溢れてる一冊。OBの人が、こういう本を書く会社って、きっと良い会社なんだねぇ、リクルートって。



【企業内起業の上手な日本企業】
リクルート以外だと、どこ?
思いつかない。
総合商社とか?リクルートよりちょっと落ちる?
ソニーとか?起業というよりも物作りっか




【関連リンク】
著者独立会社 株式会社セレブレイン HP
ウィキペディア 「高城幸司」



【目次】

    1章 リクルートで学んだものは情報を価値に変える力
    2章 どうやって「新たな市場価値」を生み出すか
    3章 ビジネスを成功に導くヒントは人を集める力にあり
    4章 リクルートベンチャー企業に共通する力とは何か?
    5章 大企業でマネジメントを学んで起業家を目指す
    6章 40歳までに身につけたい「ビジネスを生み出す」仕事術

    1章 リクルートで学んだものは情報を価値に変える力
         1 『R25』は新しい層の読者開拓を担うサービス
         2 事業を横へ縦へ展開する力が価値を加速する
         3 小さく生んで育てる土壌があるから成功する
         4 営業ゲームで勝利した事が組織マネジメントに役立ったか?
         5 唯一のカリスマが去ってもビジネス価値を生み続けられた訳はどこにある?
         6 顧客接点は全方位に横展開する。さらに仮説検証をして新しい市場に切り込む
         7 結婚なら『ゼクシィ』で、次は出産関連の情報誌と、横展開で事業を生み出す
         8 『アントレ』創刊で学んだ新規事業の立ち上げリーダーと起業家の親和性
         9 上司の藤原さんが教えてくれた新規事業を忙しく楽しむ方法

    2章 どうやって「新たな市場価値」を生み出すか
         1 リクルートで学んだ市場価値は情報の場を換金化する仕組み
         2 企業と個人をつなぐ必然の場づくりがないとビジネスは成功しない
         3 <企業>と<個人>がうれしさで繋がらないと情報はビジネスにならない
         4 売り込むサービスに必然があるから強く営業できる
         5 どのビジネスでも存続の条件は代わりのない「ナンバーワン」になること
         6 顧客を深く知りたがる営業風土もビジネスを生み出すヒントになる
         7 男女の出会いより結婚情報に集約する判断が『ゼクシィ』をブレイクさせた
         8 斬新なアイデアより簡単なモデルをとことん追及することが風土をつくる
         9 成功の影に隠れた失敗から、違ったビジネスの展開が数多く生まれた

    3章 ビジネスを成功に導くヒントは人を集める力にあり
         1 売るだけではダメ!ビジネスを生む力があるから仕事は楽しい
         2 起業は大変!ビジネスプランより仲間探し=これはビジネスを生み出す鉄則
         3 社内ベンチャーも同じ?リーダーは人を惹きつける明るい未来を見せる力で差がつく
         4 難しくても売るトップセールスの発想を捨てて仕組みで戦うから事業が伸びる
         5 シンプルで深いビジネスモデルがチャンスをつくる
         6 部下に期待を込めた言葉を伝えると組織のボルテージが上がる
         7 新しいビジネスほどマネジメント力の低下がビジネス価値の低下に直結する
         8 「ノイズになる人材」を前向きに変える方法は孤立を避けるマネジメント
         9 「仕事の報酬は仕事」と言い切り、業績の高い人材のモチベーションを上げる
         10 使える上司なら誰でも使え! 上司の役割は部下の手軽な切り札と言い切ることが重要

    4章 リクルートベンチャー企業に共通する力とは何か?
         1 元リクルートの風土はベンチャー経営者を生み出すか?必ずしもそうではない
         2 3年後の自分は何をしているか?これからの自分を考えることの大切さを学ぶ
         3 リクルートも大企業?「ゼロを1」より「1を10」にする力が学べる会社
         4 価値のすべては人:リクルートベンチャー企業に共通する権限委譲のマネジメント手法
         5 シンプルな価値のキーワードを組織で対応して成功に転換する技術とは?
         6 ビジネスを研ぎ澄ますために繰り返すリニューアルが成長鈍化を排除する

    5章 大企業でマネジメントを学んで起業家を目指す
         1 なぜやるの?動機をコミットできれば社内ベンチャーも成功する
         2 起業したい?その前に経営メンバーに・・・ 大企業でマネジメントを学べ
         3 やっぱり起業するなら覚えておいて欲しい  やるならプランより仲間探し
         4 あなたの存在感がないと優秀な人材を集められない
         5 経営マネジメントの基本はやる気にさせる風土づくり
         6 30代でバーチャル社長を経験せよ
         7 新しい事業に人が集まる風土づくり
         8 多くの失敗が次の大きな成功を生む
         9 生み出した価値は、常に領域の一番を目指す

    6章 40歳までに身につけたい「ビジネスを生み出す」仕事術
         1 選択肢は1つじゃない、最低5つは価値を生み出すビジネスプランを描け!
         2 大きなビジョンより初めの一歩を具体的に提示
         3 プランを通じ、自分の成長も語れるか
         4 プチ経営者の感覚でマネジメントすると価値を生み出す力が身につく
         5 会社の勤めても「雇われない精神」が40歳からのキーワード
         6 プロジェクト型企業では生き生き働く環境がすべての価値に繋がる
         7 部下に期待値を込めた言葉を伝えると成果が大きくなる
         8 世の中に新たな市場をつくるという使命感がリクルートの商品を大きな価値に変える