『歴史とはなにか』   岡田英弘 著

歴史とはなにか (文春新書)

歴史とはなにか (文春新書)

【所感】
・3時間くらい。

・歴史物は結構読んだけど、歴史学とか歴史論とか、歴史の考え方や捉え方みたいなのを考えたことがなかったので、そろそろ良いかと思い、手にした次第。

・感想としては、もっと、早い段階で読みたかったなぁ。高校生とか。受験勉強始める前に。とはいえ、大学受験前に読むと混乱しそうでもある。

・タイトル通り、歴史って何か、という内容。歴史の歴史というか、歴史の定義というか、そんな内容。

・「史記」に始まる東洋の歴史書が偏ってるとすると、歴史研究の意義とか、新しい事実や仮説発見の可能性は大いにあるわけで、それを研究するのは宝探しのようで楽しそう。

・堺屋さんが、モンゴル帝国の意義とか価値を絶賛してて、教科書の感覚だと、モンゴル帝国?元?くらいだったのが、ここでも、その価値を認めてた。理由をよむと、確かに、その通り。見方って重要という好例。

・後半で、国民国家をテーマとしてて、その中で、国民国家の終焉が出てくる。個人的には、国民国家の終わりとか次の時代とか、見てみたい。生きてる間に来るかな。ってーか、これ、世界的なテーマとみた。

・著者の文体が切れ味良い上に、内容が独特=あんまり聞いたことない切り口なので、偏見が強いとか業界受けの悪い先生かもと思ったら、ウィキペディアによると、やっぱり、そのよう。でも、切り口がシンプルかつ明快で、好きだな。岡田先生の本、ほかも読んでみるかな。



【関連リンク】
「公式サイト 岡田宮脇研究所」
ウィキペディア 「岡田英弘」



【目次】

  第1部 歴史のある文明、歴史のない文明
        歴史の定義
        歴史のない文明の例
        中国文明とはなにか
        地中海文明とはなにか
        日本文明の成立事情
 
  第2部 日本史はどう作られたか
        神話をどうあつかうべきか
        「魏志倭人伝」の古代と現代
        隣国と歴史を共有するむずかしさ
 
  第3部 現代史の捉え方
        時代区分は2つ
            世界は一定の方向に発展しているのではない
                マルクス史観の悪影響
            時代の区分は、むかしといま、古代と現代の二分法しかない
                古代・現在の分岐点を決めるのはなにか
                道徳的・功利的価値判断は不要 
        古代史の中の区切り
            13世紀のモンゴル帝国から、世界史が始まる
                東西の文明の結合
                現代国家群の起源
                資本主義経
                海洋国家の登場
        国民国家とは何か
            国民国家とはなにか
                西ヨーロッパでは 中国では 日本では
            フランス革命は、「王の財産」をだれが相続するかの闘い
                国民国家の主権はだれのものか
            国民軍を作るために立憲君主制が発明された
                国民国家の戦争
            「国民国家」と「民主主義」がかかえる矛盾
                みんなでみんなを持つことができるか
            天皇陛下が姿をあらわせば、それは日本の歴史そのもの
                共和制と君主制の是非
            日本が簡単に国民国家に転換できた理由はなにか
                最大の難問は国語だった
            19世紀末まで、中国という国家も、中国人という国民もなかった
                日本製の「支那」を経由した「中国」
            日清戦争で負けて、清帝国は日本をまねて近代化しようとする
                近代化とは国民国家
            現代中国は、日本型の国民国家をめざしている
                歴史の読み替えが起こった
            「朝貢」は、宗主国保護国のあいだの関係でhない
                皇帝と独立の君主との関係
            「天下」から「国民国家」へ
                19世紀を境に皇帝の歴史が中国の歴史と読みかえられた
            国民国家の終焉
                19世紀から2百年続いた国民国家が限界にきている
  結語
    だれが歴史を書くか
       「良い歴史」を書くのは「普遍的な個人」