『新版 なぜ新規事業は成功しないのか 「仮説のマネジメント」の理論と実践』   大江建 著


【所感】
・例のごとく、「事業開発」の流れで手にした一冊。「新規事業がうまくいかない理由」の詳しい版という感じ。

・新規事業開発の仕組みを会社の枠組みに納めていく時に考えないといけない事項や決めないといけない事項を、ピックアップというか並べてくれていて、それぞれについて、考え方や手法が、まとめてあるような、そんな内容。今まで、うちの会社でやってくとしたらこんな項目について決めることあるな、って考えてたというか想像してた事とほぼ同じ事項が並んでて自信がついたのと、内容について深堀の方向性とか、事例があって、勉強にもなって丁度よかった感あり。

・あくまで前提がその会社にとっての”新規事業”なので、既存業界への進出などにも触れられていて、その点で、”ブルー・オーシャン戦略”や”破壊的イノベーションシリーズ”とは異なる点あり。一般的に新規事業で成功をおさめるための参考書と、”ブルー・オーシャン戦略”や”破壊的イノベーション”という勝ち方で成功をおさめるための参考書という感じで、カブる事もあるし異なることもあるし。

・日本人が日本企業の事例を研究して実践して纏めている内容なので、翻訳物が苦手な自分としては非常に読みやすくて、分厚さの割りには、6時間ほどで読破。

・3章の事業コンセプトと5章の戦略については、それぞれ企画とか戦略の別書が詳しいかも。業界的には、メーカーを想定してる感じで、指標とか時間感覚とか、まー、数字自体までパクるのは、難しそう。

・昔、よく聞いて忘れてた「社内起業」とか「社内起業家」という単語、久しぶりに見たけど、今の自社に必要なのは、それだよなー、とシミジミ。



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【目次】

   序章  新規事業はなぜ、成功しないのか
   第1章 新規事業の本質
   第2章 目標の設定
   第3章 事業コンセプトの確立
   第4章 事業評価
   第5章 新規事業の戦略
   第6章 仮説のマネジメント
   第7章 組織の編成
   第8章 社内インキュベーションセンター
   終章  日本企業と21世紀の新規事業

   序章  新規事業はなぜ、成功しないのか
         1.「新規事業」の定義と失敗の本質
         2.新規事業の枠組み
         3.本書の構成

   第1章 新規事業の本質
         1.新規事業の要素とタイプ
         2.カメラ業界の30年−新規事業への取組みが分けた栄枯盛衰

   第2章 目標の設定
         1.進出分野の選定
         2.固有の時間感覚と金銭感覚
         3.新規事業の目標値

   第3章 事業コンセプトの確立
         1.アイデアの源泉と着眼点
         2.事業コンセプトを明確にする3要素
         3.顧客は誰で、どのように利用するのか
         4.製品・サービスの仕様
         5.消費チェーンによる差異化の実践手法

   第4章 事業評価
         1.技術開発戦略とテーマの選択
         2.BMO法

   第5章 新規事業の戦略
         1.3つの戦略
         2.参入戦略
         3.儲けの戦略
         4.反撃戦略

   第6章 仮説のマネジメント
         1.仮説の定義
         2.仮説の種類と量
         3.仮説のマネジメント
         4.「仮説のマネジメント」の実践例

   第7章 組織の編成
         1.人材の選別
         2.新規事業チームの編成
         3.チーム運営の効率化

   第8章 社内インキュベーションセンター
         1.なぜ新規事業に参加しないのか
         2.成功確率を高める
         3.社内起業家の支援ニーズ
         4.日米有力企業に見る支援策
         5.社内インキュベーションセンターの課題

   終章  日本企業と21世紀の新規事業
         1.超競争社会における企業存続の条件
         2.21世紀の企業経営と新規事業