『明日は誰のものか イノベーションの最終解』   クレイトン・M・クリステンセン スコット・D・アンソニー エリック・A・ロス 著


明日は誰のものか イノベーションの最終解 (Harvard business school press)

明日は誰のものか イノベーションの最終解 (Harvard business school press)



【所感】
・クリステンセンの破壊のイノベーションシリーズ第3作。
・翻訳が悪いのか、翻訳者が変わったからなのか、特に1部の理論のところは、なんか読みにくくて、20時間くらいかかったかも。途中、何度も読みながら寝てしまった。
・「イノベーションのジレンマ」・「イノベーションへの解」を読んだ人なら、これはいらない、かも。逆に、これを読んで理解できる人は、前2作を読まなくてもよい、かも。



【クリステンセンのイノベーション理論】
これは、練習しないといけない、かも。本書の事例は、ほとんどアメリカ。なので、日本の事例をもって、分析のケースとしたいところ。というか、誰かやってるなら、見せて欲しい。



【実践してる企業】
クリステンセンのイノベーションシリーズはいろんなところで、名著と言われてて、推薦されてて、ベストセラーになっている。が、個別の企業の事例を見ると、理論通りの負け戦を実践する既存企業や、理論通りに実践しない破壊的新規企業が多数見られる。それぞれの企業の経営陣が読んでいないからか、読んでいてわかってても、理論の方が強いのか。
企業が、この理論を実践できるか否かって、なんか日本の構造改革が進まないのと、相通ずるような印象。



【目次】

序章 変化を予測する
     イノベーションの中核的理論
       破壊のイノベーションの理論 − 単純・低コスト・革命的
       経営資源・業務プロセス・価値観の理論 − 可能性を積み上げるためのブロック
       バリューチェーンの進化理論 − 水準以下のものを改善するために統合する
     すぐれた理論の力
     理論が過去を見通す目を与えてくれる − 2件のケーススタディ
     次に来るものを見通すには


第1部 分析のために理論をどのように用いるか
  第 1章 変化のシグナル − ビジネスチャンスはどこにあるのか
         非消費者と新たなマーケットの破壊的成長のチャンス
         満足度不足の顧客と金持ちマーケットでの生き残りのイノベーションのチャンス
         満足度過剰の顧客とローエンドでの破壊、利益移転、ルールの誕生のチャンス
           最下層を狙う − ローエンドにおける破壊のイノベーション
           スペシャリストとしての新規参入 − 置き換え
           ルールの整備によって生産者の狙いがエンドユーザーへと移行する
           競争の原点を変えるためには統合化における変化が必要  
         イノベーションのための重要な非マーケット環境

  第 2章 競争のための戦い − 競争相手の実力を見極める方法
         実態の把握 − 強みと弱みを評価する
           目に見える経営資源と見えない経営資源を見極める
           困難な問題を見つけ出すことによって業務プロセスを見定める
           損益計算書と投資履歴を見て価値観を見定める
         矛と盾を探り出す
           さまざまな不均等がどのように破壊的な参入企業を活気づかせるのか
             1 参入企業は不均等な意欲の盾に隠れて参入する。
               初期の既存企業の反応は、結局、無理な押し込みになってしまう。
             2 参入企業は成長し発展する。既存企業は逃避を選択する。
             3 参入企業は不均等のスキルの矛を利用する。
           不均等の矛と盾を武器にしている企業を見極める
           大きな潜在力のある破壊的な開発がうまくいかなくなる環境
         相対性原理

  第 3章 戦略的な判断 − どれが重要な判断なのかを見極める
         間違った準備の計画は間違った足場をつくり出す
           適切な臨機応変の戦略を発見する
           経験の学校を調べる
           「適切な」資金の供給源を見つけ出す
         バリューネットワークを重ね合わせることで、既存企業の取り込みが促進される
         既存企業が破壊の達人になるための方法
           スピンアウト組織をつくって破壊の促進を目指す
           破壊的な成長の原動力を構築する能力を育てる

  第 4章 非マーケット要因はイノベーションにどのように影響するか
         意欲・能力についての考察
           温床 − イノベーションが充満している
           標的の模索 − 障害ではあるが可能性もある
           資金の模索 − イノベーションは可能、しかし見込みは薄い
         勝負の方法を変えようとする政府の努力
           第1の原則 − 適切な種類の意欲をつくり出すのは難しい
           第2の原則 − 法的な権限を与えたからといって、
                   必ずしも経営の能力あるいは技術的な能力が生まれるわけではない
           第3の原則 − ジレンマからの脱出はきわめて難しく、しかも時間がかかる
         意欲・能力の考察を活用する

第2部 理論に基づいた分析の実目
  第 5章 破壊的な卒業証書 − 教育の未来
  第 6章 破壊がその翼を広げる − 航空の未来
  第 7章 ムーアの法則はいずこに − 半導体の未来
  第 8章 超肥大業界を癒す − ヘルスケアの未来
  第 9章 海外のイノベーション − 理論を応用して企業や国家の戦略を評価する
  第10章 銅線を切る − 通信の未来

結論 次は、何か
  これまでの議論の整理 − 理論を使って分析をする
  締めくくりに

付章 主な概念のまとめ
  理論構築のプロセス
  破壊のイノベーションの理論
  経営資源、業務プロセス、そして価値観(RPV)
  達成しなければならないことの理論
  バリューチェーンの進化の理論
  必然の結果 − 生き残りにイノベーションの分類方法
  経験の学校の理論
  臨機応変の戦略の理論
  支援ツール − 発見導入型の計画立案
  意欲/能力の考察