『イノベーションと企業家精神 ドラッカー名著集 5』   P.F.ドラッカー 著

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)


【所感】
・ざっくり10時間くらい。上田氏の翻訳は、いつものことながら、非常に読みやすくて素敵。
・高名ドラッカー氏によって、イノベーションとそれを扱う企業家精神・戦略について纏められた一冊。
・自社の事業開発体制を検討するため、とりあえず、「破壊的イノベーション」4部作を読んだので、必然的にドラッカー氏へ、やって来たというか、辿り着いたというか、戻ってきたというか。
・本書は1985年の著作とのこと。いやはや、20年以上前にこういう事を語ってくれる人がいたにも関わらず、イノベーションという単語や企業家精神という単語が日本で流行ったのは、90年代半ば以降とか?少なくとも、今の日本で、イノベーションや企業家精神の社会になっているか、とか、雰囲気になっているか、とか、考えると、寂しい気持ち。
・本書は、1部 イノベーションの作法、2部 企業家精神、3部 企業家戦略の三部構成。最も興味深かったのは、「1部 イノベーションの作法 イノベーションの7つの機会」。ここは、今一度、ちゃんと深読みしたいところ。2部、3部については、クリステンセン氏ジェフリー・ムーア氏キム氏・モボルニュ氏に代表される後の研究や著作とセットで、その序文とか導入章として読むのが良い感じという印象。



【関連サイト】
   ドラッカー学会
   ドラッカー塾
   ウィキペディア 「ピーター・ドラッカー」
   翻訳者上田惇生氏HP



【目次】

   第1部 イノベーションの方法
         第 1章 イノベーションと企業家精神
         第 2章 イノベーションのための7つの機会
         第 3章 第1の機会 : 予期せぬ成功と失敗を利用する
         第 4章 第2の機会 : ギャップを探す
         第 5章 第3の機会 : ニーズを見つける
         第 6章 第4の機会 : 産業構造の変化を知る
         第 7章 第5の機会 : 人口構造の変化に着目する
         第 8章 第6の機会 : 認識の変化をとらえる
         第 9章 第7の機会 : 新しい知識を活用する
         第10章 アイデアによるイノベーション
         第11章 イノベーションの原理

   第2部 企業家精神
         第12章 企業家としてのマネジメント
         第13章 既存企業における企業家精神
         第14章 公的機関における企業家精神
         第15章 ベンチャーのマネジメント(ベンチャーが成功する4つの原則)

   第3部 企業家戦略
         第16章 総力戦略
         第17章 ゲリラ戦略
         第18章 ニッチ戦略
         第19章 顧客創造戦略
         終章   企業家社会

   第1部 イノベーションの方法

       第 3章 第1の機会 : 予期せぬ成功と失敗を利用する
              予期せぬ成功
              イノベーションへの要求
              予期せぬ成功が意味するもの
              予期せぬ失敗
              分析と知覚の役割
              外部の予期せぬ変化

       第 4章 第2の機会 : ギャップを探す
              業績ギャップ
              認識ギャップ
              価値観ギャップ
              プロセスギャップ

       第 5章 第3の機会 : ニーズを見つける
              プロセス・ニーズ
              労働力ニーズ
              知識ニーズ
              5つの前提と3つの条件
                前提:受け入れ態勢が整っていること
                  1.完結したプロセスについてのものであること
                  2.欠落した部分や欠陥が一箇所だけあること
                  3.目的が明確であること
                  4.目的達成に必要なものが明確であること
                  5.「もっとよい方法があるはず」との認識が浸透していること
                条件
                  1.何がニーズであるかが明確に理解されていること
                  2.必要な知識が手に入ること
                  3.問題解決策がそれを使う者の仕事の方法や価値観に一致していること

       第 6章 第4の機会 : 産業構造の変化を知る
              産業構造の不安定性
              外部者にとってのイノベーションの機会
              産業構造の変化が起きるとき
              単純なものが成功する

       第 7章 第5の機会 : 人口構造の変化に着目する
              人口構造の変化
              人口構造の変化はイノベーションの機会
              人口構造の変化の分析

       第 8章 第6の機会 : 認識の変化をとらえる
              半分、空である
              黒人、女性、中流階級意識
              タイミングの問題

       第 9章 第7の機会 : 新しい知識を活用する
              知識によるイノベーションのリードタイム
              知識の結合
              知識によるイノベーションの条件
              知識によるイノベーションに特有のリスク
              ハイテクのリスクと魅力

       第11章 イノベーションの原理
              イノベーションの原理と条件
                1.7つの機会を徹底的に分析しなければならない
                2.イノベーションとは、理論的な分析であるとともに知覚的な認識である
                3.成功するには焦点を絞り単純なものにしなければならない
              イノベーションの3つの「べからず」
                1.凝りすぎてはならない
                2.多角化してはならない
                3.未来のために行ってはならない
              イノベーションを成功させる3つの条件
                1.集中でなければならない
                2.強みを基盤としなければならない
                3.つまるところ経済や社会を変えなければならない

   第2部 企業家精神

       第13章 既存企業における企業家精神
              企業家たること
              企業家精神のための経営政策
              企業家精神のための具体的方策
              イノベーションの評価
              企業家精神のための組織構造
              評価測定の方法
              企業家精神のための人事
              企業家精神にとってのタブー

       第15章 ベンチャーのマネジメント(ベンチャーが成功する4つの原則)
              1.市場志向の必要性
              2.財務上の見通し
              3.トップマネジメント・チームの構築
              4.創業者はいかにして貢献すべきか
              第三者の助言

   第3部 企業家戦略

       第16章 総力戦略

       第17章 ゲリラ戦略
              創造的模倣戦略
              柔道戦略

       第18章 ニッチ戦略
              関所戦略
              専門技術戦略
              専門市場戦略

       第19章 顧客創造戦略
              効用戦略
              価格戦略
              事情戦略
              価値戦略

       終 章  企業家社会