『都市計画の世界史』   日端康雄 著

都市計画の世界史 (講談社現代新書)

都市計画の世界史 (講談社現代新書)

 
【所感】
・都市計画という分野のザックリとした世界的な歴史・流れを知りたかったので、量とか内容もちょうど良い感じ。
・戦争のための都市(の発展)、戦争のための国民国家(の成立)、似てる。
・特に、その時代、その場所の都市とか都市計画にあった背景がわかって良かった。
・初期の都市計画は、なんというか、ライフスタイルのビジョンがあって、それを実現する手法、表現する手法として、都市計画があった、都市計画ができた、みたいな感じで、カッコ良いというか、壮大というか、素敵な分野な印象。
・ま、更地に都市をつくるのと、すでにあるものを再開発するのとは、大きく違うよね。
・強大な権力があるときと、資本主義で土地私有が認められてて、民主主義でみんなで決めよう、というのも、大きく違うよね。
・人口減少に対応する都市計画(都市計画というのかどうかも不明だけど)って、過去の人類史上、無かったのかも。
・これまでの都市化は、農業から工業への移動に伴うもの、とのこと。でも、ここ最近は、違う感じ。なんだろうか?
・結局、都市化は、農業を主とする生存産業の効率化・生産性向上によって、生存産業従事者が少なくてすむ、ということか?
・つなり、消費を仕事とする人の増大が、消費に便利な都市に集う、みたいな。
・巨大都市とか、言語別になっていきそう。そのうち多言語な巨大都市もできるのかも。
・気になったところをみると、自分の関心は、都市計画よりも、都市化だったのかも。。。


   
【気になったところの引用】

6章 近代都市計画制度の都市
   ・近代革命と都市計画制度
   ・産業都市問題の発生と対応
   ・公衆衛生法と建築条例、住居法
   ・土地政策
   ・欧米先進国での都市計画法の成立
   ・日本での都市計画法の成立
   ・アメリカのゾーニング制の発展
   ・ゾーニング制の比較 − アメリカと日本
   ・日本の地区計画とドイツのBプラン
   ・スラムクリアランスから都市更新へ
   ・市街地の改善と歴史的地区の保全
   ・近代都市計画の理論と技術の発達
   ・多様性の都市へ

  
7章 メトロポリス と メガロポリス
  
   ・ 都市爆発の時代
       ・農業革命、定住、集団生活、余剰食糧の保存
        → 人口増加
        → 食糧生産に従事しない集団の定住形態を確保し、分業が発達
        → 都市
       ・人口の都市化の加速度的現象 1950年代以降
        → 都市化人口比率 先進国 ほぼ80%台で頭打ち
       ・都市化のメカニズム
        都市での急速な工業立地集積による雇用機会の急増
        → 農村から都市への人口大移動
        → 工業化と都市化の相関
        → 都市の集積の利益 による更なる拡大
       ・2007年、日本の三大都市圏居住人口は50%超え
  
   ・ 巨大都市の形成
       ・800万人以上の都市圏
          94年で、世界に22都市
          25には、32都市
       ・巨大都市の成立条件
          ① 臨海、河口、古代河川沿い = 水
          ② 平坦で広大な土地
          ③ 下水道や人口に見合う火葬場や墓地が取れる
          ④ 運輸・交通の便
       ・社会工学技術の進歩が、都市の成長拡大への制約条件を排除
 
   ・ 巨大都市圏の成長メカニズム
       ・3つの力 ① 中心性 ② 集積の利益 ③ 求心力と遠心力
  
   ・ 地球都市化の形態
       ・都市 vs 農村 の区別の曖昧化 
       ・世界のメガロポリス(人口2500万人)
          アメリカ北東、北アメリ五大湖、日本東海道、上海周辺都市群、
          北西ヨーロッパ、イングランド、北イタリア、の7つ と
          リオ・サンパウロ、カリフォルニア の 2つ
       ・都市回廊の広大なネットワークがひとつの構造として、いくつもの
        大陸にわたって拡大し、ほとんど連続したといってもよい
        全世界的な一つの都市体系
  
   ・ 巨大都市の都市問題と都市政策
       ・住宅問題 過密・不衛生。貧困・差別・住宅不足
       ・土地利用問題 スラム・スプロール・零細低度利用・緑地空き地不足
   
   ・ 巨大都市圏の都市構造モデル
      大ロンドン計画 − 同心円構造と対抗磁石構造
      ワシントン首都圏計画 − 放射構造
      パリ首都圏計画 − 線形構造
      ニューヨーク地方計画 − 文節構造
      東京首都圏 − 多核多心構造
  
   ・ 巨大都市圏の成長管理
      ・70年代から、巨大都市は、その国の国民経済にとって重要なエンジンへ


  
【目次】

  1章 城壁の都市
  2章 都市施設と都市住居
  3章 格子割の都市
  4章 バロックの都市
  5章 社会改良主義の都市
  6章 近代都市計画制度の都市
  7章 メトロポリスメガロポリス