『カーライル』   鈴木貴博 著


 
【所感】
・本が出たときから、読もうと思ってたけど、2008年なんで結局6年後。。。もっと早く読んでおけばよかった。。。結構、含蓄の深い一冊。企業経営と金融市場、株主と経営、ドメスティックとグローバル、などなど。賞味期限はあるけど、まだまだ読むべき本なんじゃないかと。

・カーライルの日本での事例が詳しいけど、単なるカーライルの本というよりは、カーライルxガースナーの本と見た方が正確か。と思ったら、新しい金融資本主義という枠組みにおける日本企業の経営者に対する処方箋の本だった、か。新しい金融資本主義経済下において、日本の経営者が手本とすべきモノが、カーライルやカーライル・ジャパンにある、というような。

・ま、ちょっと、カーライル絶賛すぎ?という印象もあるけど、そんだけカーライルは凄いんだろうね、っと。

・PEFとは、というか、カーライルは、株主のプロって理解でいいのかな?たしかに、総合商社とかも、株主としてプロか、というと微妙だし、系列系の企業集団は、株主というよりも、社内組織がたまたま別会社、みたいなところもあるし、今まで存在しなかった業態といえば、そうだったかも。

・仕事で、事業投資をしてる人とか、読むといいんじゃないかしらん。もちろん、学生さんで、PEファンドに勤める人とか、仕事でファンドの人と会う予定ができた人とかも。

 
【メモ】

・なぜ、PEが世界中で伸びているのか?それは、企業の数が過剰になっているのです。ITの力で世界がつながった。その結果、どの業界でもどんどん新しい競争相手が出現するようになり、どの業界でも競争環境が激化している。そうなったがために、経営者は、集中と選択を、いままでとは違う、さらに研ぎ澄まされた次元で行わなくてはならなくなった。大企業の中には、事業部門があまりに多すぎる。もっと中核部門は研ぎ澄まさなければならないし、ノンコア部門は切り離さなければならなくなる。ですから、PEが必要とされているのです。


  
【目次】

序章 ガースナーはカーライルで何をしようとしているのか
1章 実現しなければ道は途切れてしまう − コバレントマテリアル
2章 経営陣による株主の交代 − MBO
3章 ものづくり企業の使命はかわらない − キトー
4章 非公開商品に投資するファンド − PE
5章 ユーザーにもっと価値を − ウィルコム
6章 経営力を高める機能 − コーポレートガバナンス
7章 真のグローバル・ワンカンパニー化への道 − クオリカプス
8章 価値を生み出す行動規範 ー ワン・カーライル・コンセプト
終章 日本の経営者が獲得すべき新たな戦略思考