『明日の田園都市』 エベネザー・ハワード 著 山形浩生 訳
- 作者: E.ハワード,長素連
- 出版社/メーカー: 鹿島出版会
- 発売日: 1968/07/15
- メディア: 単行本
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この古い訳本もあるらしいのだけど、今回は、2010年版のこちらの明日の田園都市にて。
【所感】
・たぶん、原文は、1902年に世に出た作品。産業革命真っ只中のイギリス。
・都市計画のバイブルというか、経済学なら、国富論とか資本論、みたいなもんか。時代的には、ウェーバー 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 とかがほぼ同時期。
・素人目に読むと、初期の都市計画の書、というよりは、立派な事業計画書、しかも、かなり壮大、といった印象。都市計画を学ぶなら、『明日の田園都市』、読んどかないと、というよりは、政治家とか高級官僚になるなら、これ読んどかないと、といった印象。経営学だと、ビジョンの話とか、ビジョンを戦略に落とす話の、すごーい良い事例だと思う。MBAのコースで、これをケースに使ってるところとか、ありそう。
・かなり夢と希望のある事業計画書で、自分にお金があるなら、こういう事業計画に投資してみたい、あえて言えば、壮大すぎて、現代のVCとかでも、お金出せないかも。
・産業革命による社会の変革といった流れにのりつつ、都市化の弊害を克服し、一般民衆の中産階級化までを見据えた、この事業計画は、それらビジョンの最終的な表現方法として、もしくは、その方法論として、田園都市を提案しているだけで、都市計画云々という専門的な書ではないかな。
・現代日本において、政治家、高級官僚で、ここまで語れるというか、構想をもってる人は、いるのかしらん、というか、いて欲しい。ビジネス界でも、なかなかおらんよなー。これまでの日本で、これに近しいのは、石原莞爾とかになるのかな。もしくは、坂本竜馬、田中角栄、橋下徹あたりか。
・産業革命で、明日の田園都市ならば、IT革命にのったこういった提案がでてきても、いいような気もする。働き方みたいなところは結構でてきてるけど、もっと壮大なの。ここ何年かででてきそう。
【目次】
著者の序文
1章 「町・いなか」磁石
2章 田園調布の歳入と、その獲得方法 − 農業用地
3章 田園都市の歳入 − 市街地
4章 田園都市の歳入 − 歳出概観
5章 田園都市の歳出詳細
6章 行政管理
7章 準公共組織 − 地方ごとの選択肢としての禁酒法改革
8章 自治体支援作業
9章 問題点をいくつか検討
10章 各種提案のユニークな組み合わせ
11章 後に続く道
12章 社会都市
13章 ロンドンの将来
訳者あとがき