『ワーク・シフト』 リンダ・グラットン 著
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- 作者: リンダ・グラットン,池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/07/28
- メディア: ハードカバー
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【所感】
・2012年の本。翻訳もよくて、読みやすかった。まだ読んでないけど、ゴールデン・カラーとかも、こういう話なんじゃないかと。
・社会変化の方向性とか、時代の分析とかは、『東大講義録』のが、いいかも、日本人だと。表現としては、講義録もありだし、本書のような小説仕立て+解説というのも、それぞれにいい感じ。
・今の日本だと、時間消費とか経験への消費って、実体験として変化を感じるけど、イギリスでもそうなのね、というのは、面白かった。
・未来のことを語るとき、プライベートのことを語るとき、子供のインタビュー動画、というのは、使えるな、と思った。生保のCMみたいだけど、定番というか外れないというか。
・ひとことで言うならば、インターネットでコミュニケーション・コストが劇的にさがって、世界中がライバル、ってことかしらん。かつ、長寿化 と 物財過多非満足で、ライフワークバランス みたいな感じ、か。逆に言えば、今までのコミュニケーション・コストって、どんだけ高かったんだ、という話か。以前から、デザイナーとか建築家とか、ごく一部では、ワーク・シフトな人々はいたけど、そういう人々がもっと、たぶん、劇的に増える、ということなんでしょう。
・大企業にも入れず、ワーク・シフトできない人は、どうすりゃ、いいの? とは思ったけど、どうしようもない、ということなのかもだけど、下手をすると、シフトできない人の方が多いかもしれん。日本だと、日本語の壁のおかげで、今の現役世代くらいは、逃げ切れたりするのかも。軽くしか触れてないけど、貧困の問題が、今までは、国とか地域とかの話だったけど、個人レベルにおりてきてしまう、1億総中流とかって、もう無理、になっちゃうわけで。
・そうそう、貧困の話って、分配のミス、とか、システムの話なんだなぁ、と最近思うようになってきた。
・ハーバードとかの卒業生が、優秀なやつほど起業に走ってる、とかのニュースも、この流れなのかも。
・だとしたら、今の子供世代は、親の言うこと聞いちゃいけないな。ぶっちゃけ、こういうのが見えてきた今の時代に、今の学校で学ばされること、って、ほとんど無意味かも。というか、無意味じゃないと信じてたり、無意味の意味を勘違いして無意味と思ってる人のが多いか。ここは、ビジネスチャンスかも。
・しかし、で、お前はどうするのさ、と言われるとちょっと困るか。大地震が近い将来くるから、と言われても、引っ越してないのと同じだ。。。
【目次】
プロローグ 働き方の未来は今日始まる
序 章 働き方の未来を予測する
第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?第 1章 未来を形作る5つの要因
要因1 テクノロジーの進化
要因2 グローバル化の進展
要因3 人口構成の変化と長寿化
要因4 社会の変化
要因5 エネルギー・環境問題の深刻化
第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実第 2章 いつも時間に追われ続ける未来 −3分刻みの世界がやって来る
第 3章 孤独にさいなまれる未来 − 人とのつながりが断ち切られる
第 4章 繁栄から締め出される未来 − 新しい貧困層が生まれる
第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々第 5章 コ・クリエーションの未来 − みんなの力で大きな仕事をやり遂げる
第 6章 積極的に社会と関わる未来 − 共感とバランスのある人生を送る
第 7章 ミニ起業家が活躍する未来 − 創造的な人生を切り拓く
第4部 働き方を<シフト>する第 8章 第1のシフト − ゼネラリストから「連続スペシャリスト」
第 9章 第2のシフト − 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
第10章 第3のシフト − 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
エピローグ 未来のために知っておくべきこと
【キーワード】
要因1 テクノロジーの進化
1 テクノロジーが飛躍的に発展する
2 世界の50億人がインターネットで結ばれる
3 地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになる
4 生産性が向上し続ける
5 「ソーシャルな」参加が活発になる
6 知識のデジタル化が進む
7 メガ企業とミニ起業家が台頭する
8 バーチャル空間で働き、「アバター」を利用することが当たり前になる
9 「人口知能アシスタント」が普及する
10 テクノロジーが人間の労働者に取って代わる
要因2 グローバル化の進展
1 24時間・週7日休まないグローバルな世界が出現した
2 新興国が台頭した
3 中国とインドの経済が目覚しく成長した
4 倹約型イノベーションの道が開けた
5 新たな人材輩出大国が登場しつつある
6 世界中で都市化が進行する
7 バブルの形成と崩壊が繰り返される
8 世界のさまざまな地域に貧困層が出現する
要因3 人口構成の変化と長寿化
1 Y世代の影響力が拡大する
2 寿命が長くなる
3 ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える
4 国境を越えた移住が活発になる
要因4 社会の変化
1 家族のあり方が変わる
2 自分を見つめ直す人が増える
3 女性の力が強くなる
4 バランス重視の行き方を選ぶ男性が増える
5 大企業や政府に対する不信感が強まる
6 幸福感が弱まる
7 余暇時間が増える
要因5 エネルギー・環境問題の深刻化
1 エネルギー価格が上昇する
2 環境上の惨事が原因で住居を追われる人が現れる
3 持続可能性を重んじる文化が形成されはじめる
第1のシフト − ゼネラリストから「連続スペシャリスト」
なぜ、「広く浅く」ではだめなのか?
連続スペシャリストへの道
高い価値をもつ専門技能の3条件
・付加価値・希少・模倣困難
未来に押しつぶされないキャリアと専門技能
・草の根市民運動家・社会起業家・ミニ起業家
・生命科学・健康関連、再生可能エネルギー関連
・創造性イノベーション関連
・コーチング・ケア関連
あくまでも「好きな仕事」を選ぶ
高度な専門技能を身につける方法
・職人のように考える
・子供のように遊ぶ
移動と脱皮で専門分野を広げる
セルフマーケティングの時代
自分の刻印と署名を確立する
カリヨン・ツリー型のキャリアを築く
第2のシフト − 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
未来に必要となる3種類の人的ネットワーク
ポッセを築く
ビッグアイデア・クラウドを築く
自己再生のコミュニティを築く
第3のシフト − 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
バランスのとれた働き方を選ぶ勇気
仕事の世界の「古い約束事」とは?
「古い約束事」が崩れ始めた
お金と消費に最大の価値を置く発想
なぜ、私たちはお金と消費が好きになったのか?
消費より経験に価値を置く生き方へ
重要なのは選択肢を理解すること
自分で自分の未来を築く
<シフト>を実践する