『アジアの隼』   黒木亮 著

アジアの隼 上 (幻冬舎文庫)

アジアの隼 上 (幻冬舎文庫)

 
アジアの隼 下 (幻冬舎文庫)

アジアの隼 下 (幻冬舎文庫)


 
【所感】
・1994年から1998年頃、東京、ハノイ、香港あたりが主たる舞台。制度金融とかプロファイとか。懐かしい。

・時代的に、途上国の民活プロジェクト、アジア通貨危機長銀崩壊、ジャパンプレミアムあたりのイベントあり。金融的には、かなりホットな時代だったか。投資銀行が、世界的に?というか日本的に、一気にメジャープレーヤーになってったのも、このあたりか。ある意味、間接金融最後の栄華、だったのかもしれん。

・商社とか銀行とか投資銀行とかいって、(アジアとかの)海外(途上国)向けのプロジェクトファイナンスとかやりたい学生さんとか転職準備中の人が読むと良いのかも。

・この小説だと、プロファイを打つ金融屋さんが、結構、活躍してるのだけど、制度金融で金融屋が活躍するイメージが無かったので、ちょっと意外。発電所とかだと、金融屋も頑張るのかな。どっちかってーと、商社とかメーカーが頑張る種類の案件で、金融屋は、後から出てきて、はいはい、そういう事ならお金、貸してあげてもいいよ、くらいの偉そうなイメージだった。いずれにせよ、金融屋のフィーの取り方は、エグイところ。そんな多額の資金を提供できる組織が無いだけに、寡占の為せる技か。

・90年代のベトナムのシーンが多いのだけど、この頃のベトナムでも、ホテルで、ネズミの出ない部屋にしてくれ、そんな部屋はない、とかいう会話が成り立ったのか、っと。仕事の出張で、ネズミと同部屋は辛いところ。

・今おもえば、90年代くらいまで、海外への旅行とか生活が、海外っぽい最後の時代だったか。今は、都会だと、コンビニもあるし、ネットもあるし、日本飯屋・日本食材屋も大抵あるから、不便さが減ったというか、どこ行っても日本と変わらないレベルの生活が容易に確保できる。昔、海外、行くと、なにかと不便だったし。でも、それが海外生活っぽくて良かったけど。