『降臨の群れ』   船戸与一 著

降臨の群れ  上 (集英社文庫)

降臨の群れ 上 (集英社文庫)

降臨の群れ  下 (集英社文庫)

降臨の群れ 下 (集英社文庫)

 
【所感】
・例のごとく、すっかりはまってしまってる船戸作品。登場人物の名前が覚えられなくて、なんどか読み返してたら、結構時間がかかってしまった。

・本作の舞台は、2002年のインドネシア アンボン島。911の後、バリ島のクラブで爆破テロがあった頃。インドネシアの多民族性というか、海洋国家というか、構造的な課題が、辺境で爆発するといういつもの船戸ワールド。ただ、今回は、自給自足経済と市場経済の狭間ではなく、宗教と民族の狭間といったあたりか。

・アンボン島、作中にも出てくるけど、古くは1600年代のアンボイナ事件で、日本人傭兵が処刑されていたり、ちょっと前だと、2次大戦のときに海軍の基地があったとか。微妙に日本人とも繋がりある島らしい。

・中華系の住民も結構いるらしく、でも、華僑と中華系インドネシア人は違うんだ、という件があって、そーなんだー、とダブルで新鮮。

・治安が回復してるなら、ちょっと行ってみたいかも。グーグルマップでみたら、想像してたより綺麗な町っぽい。アンボンでなくても、東南アジアの島で、昔、オランダとかイギリスの拠点になってたようなところで、建築物でその名残がみられるような小さめの町、行ってみたい。

・似たような理由で、中世以降太平洋戦争以前とかで、東南アジアに移住していた日本人の話も、読んでみたい。