『海燕ホテル・ブルー』   船戸与一 著

海燕ホテル・ブルー (角川文庫)

海燕ホテル・ブルー (角川文庫)


【所感】

・気分転換がてら 船戸作品。初出は、平成10年の作品。

・主な舞台は、伊豆下田。田舎の海の町。

・なんというか、これまで読んできた船戸作品とは、一線を画す感じ。解説にも、偉大なる実験作、ってあったし。舞台が、現代日本、というあたりで、これまで読んできた船戸作品は、大きな歴史の中で異なるモノがぶつかりあうような舞台(時代や場所)があって、その中でのハードボイルドという感じで、世界の辺境にあってなぜか日本人が主人公であったのだけど、今回は、その設定が現代日本であり、歴史の勉強的な側面が無くて、残念。

・異なるモノがぶつかりあうという意味では、確かに、今回も船戸作品。異質なモノ同士がぶつかるところにドラマというか、普段、日本で、かつ狭いコミュニティで生活してると中々、出会う場面が無いので、非日常感で心地よかったんだけど、今回は、そこが、なんというか、文学的というか。

・本作に出てくる魔性の女、自分は出会ったことが無いけど、きっといるんだろーなー。出会って、気に入られたりしたら、最後、というか。もっと運命的な気もするから、出会ったら最期か。自分の周りには、こんな感じに女に嵌って壊れてった奴は、まだ、いないかもなー。正確には、自分が壊されるくらいの女に出会ってしまった奴、っか。知り合いが1000人としたら、魔性の女は、1万人に一人とかかな。東京都に、1000人もいないくらいかー。