『無理』 奥田英朗
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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【所感】
・夜に読み始めて、朝方に読了。
・東北地方の人口12万人の町が舞台。2009年に出た話だから、取材したのは、その前くらい。とすると、今から5年くらい前か。
・地方の閉塞感という単語でくくられる状況を、事細かに説明してくれてる小説、とでも言うのかな。
・地元から(東京へ)の脱出を夢見る進学高校の生徒、旧来型の利益誘導型政治に群がる地方政治家と土建業者、地元から出れない不良、独居老人、生活保護を受ける人たち、引きこもりの若者、宗教にはまる主婦たち、売春で稼ぐ主婦、不倫に逃げる主婦、金があっても無くても幸せじゃない人々、たぶん、多重債務とドラッグ以外のテーマは、一通り揃ってる感じ。
・舞台が東北の地方都市ということだけど、東京も、そんなに変わらないんじゃないかなー、とも思った次第。高給サラリーマンが多いから、ちょっと見えにくいだけで。
・テーマがテーマだけに、で、どうする、という話よりも、状況はこんな感じ、という内容。たぶん、10年前とかから、こんな感じだったのかも。そのころ、大学受験で頑張って地方から出てきましたー、って言ってた人たちを思い出しながら、読んでしまった。彼ら・彼女たちは、こんな感じのところで育って、こんな感じで脱出してきたんだろーなー、って。
・こういった閉塞感って、20年前とか、30年前って、無かったのかな?もしくは、100年前から同じなのか。根本的には、同じか。農業とか大家族というセーフティーネットが無くなって、それに代わるセーフティーネットが無いのが、死が近くみえて、底抜けに暗い読後感か。
・とりあえず、生活保護を、現金支給をやめて、自給自足を主軸にする現物支給というか、住居は、公営住宅を無料にして、1箇所とか数箇所にまとめて住まわせて、近所に農地を用意してあげて、ちょっとでも動ける人は畑仕事(っつっても、ちょっとした野菜と芋くらい、作って)とか、みんなのためのバスの運転手とかして、動けない人は、生活保護仲間の世話をお互いにしあう、もちろん、食事は、食堂方式で、母子家庭の子供10人をを、おばあちゃん5人がみてあげて、その間におかあさんは、外に働きにいくとか、みんなの食事を作る、とか、そうすれば、コスト的には、かなり落ちて、かつ、餓死しそーな感じなら、そこをセーフティーネットにできる、というか。生活保護のラインを、餓死しない・凍死しない、くらいに落とすというか。もちろん、社会福祉事務所も、役場じゃなくて、そこにおいて、ケースワーカーもそこで仕事。テレビとかも、共同。寝室だけ別というか。生活保護シェアハウスというか。生活保護で支給するお金が、行政に無くなったら、早晩、そうなるしかないしなー。