『山猫の夏』   船戸与一 著

山猫の夏 【新装版】 (講談社文庫)

山猫の夏 【新装版】 (講談社文庫)

 
【所感】
・船戸作品8本目。今回の舞台は、80年代ブラジル東北部。歴史的には、植民地時代の悲劇、戦後の日系移民の悲劇、独裁政権下での反政府運動とかもちょっと絡んでくる。
 
・ちょっと長め。最近の傾向だと、2冊版とかで出版されそうな分厚い文庫。なので、時間も結構かかって、10時間くらい。一気に読んでしまった。
 
・全体感としては、「蝦夷地別件」に似た印象。そういう意味では、作者の得意な構成なのかもしれん。
 
・自分の日常生活だと、サッカーのブラジル代表くらいしか、ブラジルの情報に触れる機会が無いだけに、たまに、こーいう本を読むと、その多民族性(しかも混血多い)とか歴史的な複雑さとか、驚き。しかも、80年代のブラジルだと、陸の孤島だらけ、というか、話の舞台になった勝手自治区って、本当にありそう、というか、多分、似たような話は現実にあったんだろうな、っと。狭い日本だと、中々想像しにくいところ。