『サブプライム後に何が起きているのか』   春山昇華 著

サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270)

サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270)

【所感】
「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」の続編。 2008年4月の本、なので、リーマンショックより前。その段階で本書を読んでいれば、リーマンショックを予見できた、かも、しれん。少なくとも、意外な事件というよりは、ついに来たか、と思えたはず。
 
「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」の続編なので、前著を読んでから本書を読んだ方が良い内容。内容としては、サブプライム問題の周辺(金融機関のその後・レバレッジモノライン・格付・SWF)の解説と世界経済の今後の展望、といったところ。
 
・著者が言うに、歴史的に、覇権国家の条件 として、言及されてるのが、
    1.大量の資金をもち、他国への貸付・投資を通じて、支配。
    2.大規模な内需をもち、他国へ開放し、輸入を通じて、他国を潤す。
 の2点。その前提で、ポストアメリカは、中国かイスラムとして、意見が述べられている。個人的には、アメリカの次、か、遅くとも、次の次には、この覇権国家のルールが変わるのではないか、と、期待。


 
【目次】

     プロローグ

     第1章 窮地に陥った金融機関

     第2章 突如として表舞台に登場した国富ファンド(SWF

     第3章 レバレッジ・バブルの「正体」

     第4章 モノライン − 格付けの「罪」と、投資家のレバレッジ信仰

     第5章 世界金融維新
           覇権の歴史 ローマ帝国
           アヘン戦争貿易赤字を取り戻すための「苦肉の策」
           次の覇権国はアメリカによって開発され発展をとげる国だ
           通貨下落の意味
           双子の赤字は世界が許しているから
           アメリカは、すぐには死なない
           次の覇権国は「中国」か
           「黒猫白猫」
           消費をしまくるアメリカ経済と製造をしまくる中国経済
           日本の「金融自由化」が何をもたらしたかを中国は学んだ
           イスラム圏が覇権国になる可能性はあるか
           企業はますます「持たない経営」に向かう
           国富ファンドがアメリカを救おうとしている
           不景気の株高はありえるのか
           スポンサーが変われば、スポンサーが喜ぶことも変わる

     第6章 日本は昇るのか、沈むのか
           リスクをとり人を叩いてはならない
           トヨタ任天堂が開拓した「2つの道」
           日本人は中途半端に豊か
           モノの輸出から、お金の輸出へ
           知識の役割が変わりつつある
           知恵とお金を上手に結合することが重要