『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』   春山昇華 著

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)


【所感】
・2007年11月の本。ということは、サブプライムショックの後、リーマンショックの前、っか。
 
・タイトルの通り、サブプライム問題の解説本。読みやすくわかりやすい。今頃、読んでるので、大筋は、知っていたけど、そもそも論としてのアメリカの不動産市場の話とか細かいところとか、細かいところまでを含めた軸というか一貫性とか、なるほど、と、唸ってしまった。

サブプライム問題とか、その背景を詳しく知りたい人にお薦め。あと、団塊の世代の人とかで、資産運用とかを検討している人も、読む価値ありな一冊。サブプライム問題が顕在化する前の、アメリカの不動産バブルで跋扈していた悪徳業者の手口が詳しく紹介されてて、最後に、日本でのリバースモーゲージの普及における危惧が語られてて、役立ちそう。
 
「金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉」の第2章・第3章あたりを詳細に一冊の本にしてくれてるような内容、とも言えそう。
 
・最近、経済系の本を読んで思うのは、歴史って、教科書とかだと、体制とか権力構造を軸に語られてて、経済の話はおまけ的だったのもあって、歴史を見るときに、経済って後回しとかおまけ、というか、経済を気にしないで見てしまう傾向が強かったのだけど、実は、まず、時代の経済構造があって、その上で、体制とか権力とかを認識していく方が、理解が宜しいような気がしてきた。まず、経済ありき、というか。



 
【目次】

     プロローグ
     第1章 住宅バブルを生んだ社会的な背景、時代的理由
     第2章 サブプライムが略奪的貸付に変質した理由
     第3章 サブプライム問題の露呈 〜 歯車が逆回転を始めた
     第4章 サブプライム問題への対策と現実 〜 住宅バブルを後押しした証券化
     第5章 サブプライム問題の今後
     第6章 終わりのはじまり 〜 アメリカ帝国の終焉
           アメリカの住宅神話は終った
           アメリカの貿易赤字は周到な戦略
           アメリカはバイイングパワーを維持できるか?
           住宅価格の下落は、消費者の購買力を低下させる
           資源価格の高騰がアメリカ帝国主義を崩壊させる
           アメリカの代わりは出現するか?
           現実味を帯び始めた覇権の移行
           当面の対策がもたらす副作用
           サブプライム問題の悲劇は対岸の火事ではない、明日はわが身と思え