『過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?』 池田信夫 著
過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042)
- 作者: 池田信夫
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 新書
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【所感】
・なんというか、「ウェブ進化論」と「金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉」の間をつなぐ一冊、というか、3冊で鼎的な一冊。この3冊を読めば、ここ10年の世の中の変化が整理できそう。前者を経済とか経営の言葉で語って後者につなげてて、IT革命以外の要素について、後者は、重点をおいて、語ってくれてる。
・本書は、IT革命を経済の言葉で語ってくれてて、IT革命の肝は、情報処理と情報流通のコストが、急速に、限りなくゼロへ近づいていくという点。その結果、こういう風に世の中、変化してきましたよねー、という内容。
1.コンピューターとネットワークで、誰でも何でもIT革命に組み込まれますー。
2.革命に組み込まれた全ての関係性において、自律分散が進みますー。
3.その自律分散した個をつなぐプラットフォームは、当然、再構成されますー。
4.個をつないできた既存のプラットフォームは、再構成ができてなくて、苦労してますー。
5.最たるプラットフォームは、大企業であり国家ですねー。
・著者のブログにある内容と一貫していてブレがない。ブログを再構成して本にしましたー、とも言えるけど、再構成代=本代と思えば。。。
・ボトルネックが人間、と言い切ってくれてる延長として、もう一歩、踏み込んで、意見を書いて欲しかったところ。この内容を90年代に出してれば、凄かったのになぁ。
・ボトルネックがどこからどこに移るか、というモノの見方は、昔、上司に言われたことがあって、今更ながら、シンプル、かつ、ポイントを見逃さない使える見方、と再認識。同様に、過剰な資源は浪費される、というモノの見方は、その裏返しだけど、これもまた使える見方、と認識した次第。
・情報の価値 = 新規性 x 娯楽性 / 自分との距離 というのは、日々感じてたことを綺麗に文字にしてくれて、目から鱗の一言。分母に距離感を置くのが、あー、俺って、分数、わかってないなぁ、と今更ながら実感。
【目次】
序 章 ビッグ・ブラザーの死
第1章 ムーアの法則とは何か
第2章 ムーアの法則で何が変わるか
1 情報インフラはコモディティ化する
2 問題はボトルネックだ
3 人間がボトルネックになる
4 情報は個人化する
5 垂直統合から水平分業へ
6 業界の境界はなくなる
7 中央集権から自律分散へ
8 系列関係から資本の論理へ
9 国際化からグローバル化へ
第3章 ムーアの法則にどう対応すべきか
1 情報コスト1/100の世界を想定する
2 水平分業で生き残るには
3 ものづくりからサービスへ
4 産業政策から資本市場へ
終 章 孤独な世界の中で