『裸者と裸者』   打海文三 著

裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)

裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)


 
【所感】
・うーん、と唸ってしまうくらい、面白かった。テンポも良いし。映像化、してくれないかな。
 
・アフリカの内戦とかで、少年兵の問題を伝える報道番組とか映画とかよりも、その悲惨さとかが身近に感じられた。舞台が日本だからか、小説で言葉による説明が多いからか、は不明なれど、海外の映像よりもリアリティがあるというか。
 
・戦争孤児→少年兵モノと言うと、昔のガンダムとかヴァイファムを思い出す。なぜか、両方とも好きだった。本作を気にいったのも、その延長にあるのかも。目の前の敵を倒すのは勿論なれど、その向こうというか全体を支配しているシステムとの戦いを意識しているという意味で、ガンダムとかヴァイファムの少年兵より海人の成長は大きいかも。システムと闘おうとする少年で言うと、バトルロワイヤルもあったなぁ。
 
・戦争は太古からあるけれど、少年兵って、最近の話のような気もする。戦争を国家がやってたから?小集団の自衛になると子供の成長を待つ余裕が無いから?
 
・カオス状態の内乱から収束のプロセスというのは、戦国時代を彷彿。最後に勝つ集団は、やはり経済力が重要というあたりも同じ。それを産むシステムをどう作るか、どう手に入れるか。
 
・日本で内乱が起きたら、自分ならどうするかなぁ?出発点として、その時点で、どの組織にいて何をやってるか、次第か。守るべきものがあるか、というのもあるなぁ。でも、今の日本人に、こんな激しい内乱を起こせるかな?起こせても何年も続けられるかな?起こせたら、続きそうだな。
  
「愛と幻想のファシズム」も「スワロウテイル」もそうだったけど、日本の内乱物だと、必ず、アジア各国からの移民が大量にいて、話の重要な部分を占めてる。偶然の一致か。