『沖縄ノート』   大江健三郎 著

沖縄ノート (岩波新書)

沖縄ノート (岩波新書)


【所感】
・1970年の本。大江健三郎の著書の中では読みやすい方なんだろうと思うけど、40年前の日本語で、読みにくかった。最近、読みやすい今時のしか読んでないから、余計にそう感じてしまった。
・なんというか、「沖縄」という主題で、著者が思うところを書き綴った「ノート」という趣。事実の羅列や説明・解説というよりは、著者の心の叫びが綴られている感じ。なので、大江健三郎が1970年にみた沖縄、を知りたい、読みたい、という人向け。大江健三郎の生い立ちや思想・立ち位置、戦後25年で安保の1970年という時代背景、日本と沖縄の歴史といったあたりに知見があった方がベターかと。
・一気に読み流した印象としては、著者の戦後日本への怒り、というか、そんな熱さが残った。沖縄が主題なのに、日本への怒りってのが、なんか残念ではあった。
・沖縄って、なんで、日本に帰ってきたんだろうか?沖縄が日本に返還されるときに、独立という選択肢は無かったんだろうか?政治的には、その選択肢は無かったに等しかったとは思うのだけど、沖縄の人達の希望とか意識とかという意味で、できることなら、独立したかった、という感じなのか?それとも、いやいや独立よりも日本への返還でしょ、という方が、主流だったのか?



【関連リンク】
Wikipedia 大江健三郎



【目次】

   プロローグ 死者の怒りを共有することによって悼む
   Ⅰ     日本が沖縄に属する
   Ⅱ     『八重山民謡誌』’69
   Ⅲ     多様性にむかって
   Ⅳ     内なる琉球処分
   Ⅴ     苦が世
   Ⅵ     異議申立てを受けつつ
   Ⅶ     戦後世代の持続
   Ⅷ     日本の民衆意識
   Ⅸ     「本土」は実在しない