『血と夢』   船戸与一 著

血と夢 (講談社文庫)

血と夢 (講談社文庫)


【所感】
・舞台は、ソ連と紛争中である1981年のアフガニスタン
 
・例のごとく、フィクションでありながらも、似たような状況が多々あったんだろうなぁ、と、個人的には近代史の理解に有益だったと。
 
・なんというか、寿命と社会の価値観とか正義観、って、相関があるような。食糧事情、衛生状況や医療不足、戦争や内戦、まー、いろいろな理由で、早く死ぬ可能性が高い社会では、如何に死ぬか、その死に方、が価値や正義の軸となる。日本も、太平洋戦争前後くらいまでは、そういった側面があったように理解。が、逆がイマイチというか未熟か。今の日本のように、長寿が前提となると、如何に生きるか、その生き方、が価値や正義の軸となりそうなもんだけど、そこは未熟で、というか、長寿が前提となっているが、長く生きることは、こんな日本でも実は大変で、長く生きるために、長く生きないといけないがために、今、生きてる、働いてる、我慢している、ところまでしか、これていない。なんか皮肉な話だ。うーん、違うな。皮肉なんではなくて、過渡期なんだな。経済成長はいけるところまで行った、とかではなくて、まだ足りない。もしくは、経済は成長したけど、社会は成長していない、というか、そんなところか。こうやって生きたい、こういうことをして生きていきたい、でも、お金のことを思うと、我慢して、これやっとくか、ってな選択をしないでいい世の中になったとき、晴れて一旦のゴールとなるのか。




【関連リンク】
Wikipediaアフガニスタン紛争