『空海の風景 改版』   司馬遼太郎 著

空海の風景〈上〉 (中公文庫)

空海の風景〈上〉 (中公文庫)

空海の風景〈下〉 (中公文庫)

空海の風景〈下〉 (中公文庫)


【所感】
・時代が時代で、資料にも限界があることから、事実と確認できないというか、確証をもてないというか、確信できないというか、で、他の著作に比べると作者の想像が多い感じあり。と思ってたら、そー書いてあったや。なので、『空海』ではなくて、『空海の風景』なのか。とかすると、小説という表現形態の幅の広さというか、便利さというか、なんか、感じいった次第。
 
・風景だからか、時代だからか、全体としてゆっくりとした時間の流れ。でも、退屈ではなく、悠久の時ってこういう感じなのかも、とか思うような時間の流れを読中にずっと感じた。
 
・この時代の知識が、教科書程度だったので、理解が浅くて残念。さきにマンガとかで読んどけば、また、違ったか。
 
空海、名前は知ってたけど、こんな感じの人生をおくってたのは、ほとんど知らず。興味深いというか、空海は、もっと深堀りしたい一人になりました。天才って、こういう人のためにある言葉なんだなぁ、っと。
 
・今でも、海外に長期で行くとなると大変だし、色んな発見があるけど、この時代のそれを思うと、彼に関わらず、遣唐使らが受けたカルチャーショックたるや凄いものがあったわけで、でも、言葉であったり、文化であったり、宗教であったり、を、吸収し、持ち帰ってきて、いやー、素晴らしい。もちろん、そのカルチャーショックのために命を賭けてたというのも感動的。現代において、ハーバードでMBA取ってきましたってのとは、全然違うよなー、きっと。もちろん、ハーバードでMBAとってくるのも凄いこと。遣唐使との比較において、違うという意味。命掛け度も違うし。