『岸信介 −権勢の政治家−』   原彬久 著

岸信介―権勢の政治家 (岩波新書 新赤版 (368))

岸信介―権勢の政治家 (岩波新書 新赤版 (368))



【所感】
・1995年の本。「国が燃える」を読んだときに、満州岸信介が出てきてて、戦後の代表的な総理大臣としての岸しか知らなかったから意外で、その後、なんかで、昭和を形作った3人として、北一輝石原莞爾岸信介って書いてあって、とかで読んでみた。

・本書は、岸信介の本であるとともに、岸を通して見る昭和史の本とも言える。岸の出生年1896年から後、特に高級官僚、政治家となっていく岸を見ることは正に昭和史を見ると同義、という印象。

・興味が、戦前・戦中の岸信介だったので、本書は当りだった。堺屋さんも「東大講義録」で言ってる昭和16年体制というのも、岸が作ったようで、その延長としての55年体制も岸が作ったようで、正に昭和を作った人と言えそう。

・戦後については、基礎知識がないのと、登場人物が多いのと、政局が混乱してるのとかで、ちょっと消化不良。どこかで、戦後史、ちゃんとやらないといかんなと思った次第。

・疑問は、岸さんがなんでそんなことができたか?だよなー。血縁・姻戚関係が大きいとか、英才教育を受けてたとか、東大でもトップを争う成績≒超優秀だったとか、革新官僚の親玉だったとか、基礎能力的な面や思想的な面ではもちろんなんだけど、周り、特に、権力者達を如何に口説いていったのか?みたいなところが知りたいところ。お金も大きかったと思うが、それだけでもないような。お金の面と口説きプロセスの面で知りたい感じ。

・そういう意味では、動機とかも知りたい。まさか、お金とプライドだけってことは無いと思うわけで。どういう動機で、この昭和を作ってきたのか?その岸からみた平成は、そして、孫の安部晋三はどう見えるのか、とか。



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【目次】

  第1章 維新の残り火    − 生い立ち
  第2章 青春の刻印     − 国家社会主義への道
  第3章 時代の帆風を受けて − 少壮官僚の野心
  第4章 国家経営の実験   − 満州国時代
  第5章 戦時体制を率いて  − 国家主義の蹉跌
  第6章 幽囚の日々     − 獄中日記が語るもの
  第7章 保守結集に向かって − 55年体制の構築
  第8章 権力の頂点に立つ  − 安保改定への執念
  エピローグ 執念と機略と