『沖縄ダークサイド』  野村旗守 編


沖縄ダークサイド (宝島社文庫)

沖縄ダークサイド (宝島社文庫)


【所感】
・沖縄のホテルのプールサイドで読破。3時間くらい。
・観光ガイド、歴史、裏話と、沖縄シリーズ3冊目。3冊の中では、一番、面白くて、結構、ドキドキしながら読めた。リアルなだけに、ちょっと凹んだというか、ギランギランの太陽、白い雲、ホテルのプールという目の前の光景とのギャップが、変な感覚だった。
・複数のジャーナリストがそれぞれテーマで個別の具体的なルポを書いてくれてるんだけど、なんか全体として、現代沖縄の問題点、課題が綺麗にまとまっているのではないか、という感想。あ、逆か、綺麗に纏めてくれてるんだ。



【沖縄の課題】
現代沖縄については、本書しか読んでないから、偏ってるとは思うけど、本書だけの感想としては、本書にあげられている沖縄の諸問題や哀しい現実は、結局、沖縄に経済力が無い、もしくは弱いことが一番の根本的な課題という印象。かつ、返還後の経済構造が、なんやかんやで、本土と同様に、というか、本土より顕著に、限界に来ていて、成功体験が大きかっただけに、その転換がまた大変で、その転換に関連して、沖縄の経済問題が、さらにややこしくなっている、という感じ。

基本的に沖縄内での自給はできないと思うわけで、外から物を買うには、買うお金を、外から得ないといけないわけで、その多くが、公共工事と米軍基地関連らしいっと。さすがに、観光だけで、食っていけるまでにはなっていない、らしいっと。

ツライなぁ、と感じたのが、返還後の30年間における公共工事と米軍基地関連に、経済全体が漬け込まれきってるっぽいこと。

もちろん、その中の分配の問題もあるんだろうけど、まずは、パイをどうするか、が課題っぽい。

でも、これって、日本の地方全体、ひいては、日本全体の問題なわけで、この課題を全国に先立って、解決していければ、次代では、沖縄は日本の先進県となってくれるのではないかと、期待する次第。




【目次】

  序章  現実、そして沖縄的こころについて
          「癒しの島」の利権の構造 − 李策
          「わが沖縄、わが闘争」 − 恵隆之介

  第1章 男たちの沖縄
          「沖縄の歌舞伎町」松山ポン引きブルース − シーサー親方
          三代目旭琉会vs沖縄旭琉会、血の抗争史! − 梶浦隆
          沖縄刑務所の「ヌルい日常」 − 石川靖・安田浩一
          昌吉さん、流れ流れてどこどこ行くの? − 野村旗守

  第2章 女たちの沖縄
          「母親が客をとれっていうんだ。すげームカついたけど・・・」 − 高岡浩
          沖縄名物「真栄原・新町」、既得権で黙認の「ちょんの間」地帯 − 米山モリオ
          再検証「安室奈美恵の母」殺人事件 − 日名子暁

  第3章 逆説の沖縄
          逆説の在沖米軍基地論、そして私の「反」沖縄論 − 恵隆之介
          はっきり言おう、「迷惑だから、勝手な幻想を持って来るな!」 − 金城朝夫
 
  第4章 基地の島、「本土」と「アジア」の真ん中で
          在日米軍兵士SEX処理作法 − 金子貴之・榊総明
          沖縄ミリタリーマニアたちの危険なコレクション − 金子貴之
          一触即発の尖閣諸島!日・中・台「海底油田利権」争奪戦争 − 滝本匠
          橋本派vs森派沖縄利権めぐる永田町の暗躍 − 田村建雄

  終章  ふたたび、沖縄的こころについて
          殺さないウルトラマンは、しかし「自主防衛」を訴えた − 安井陽
          実録!戦後沖縄凶悪・重大基地事件史 − 滝山洋雪