『姜尚中の政治学入門』   姜尚中 著


姜尚中の政治学入門 (集英社新書)

姜尚中の政治学入門 (集英社新書)


【所感】
・3時間くらい。
朝まで生テレビでよくみてた姜さんの入門書。朝生では、クールで、でも、力強い語り口が素敵だなぁ、と思ってて、ふと手にとった一冊。
・7つのキーワードで、今の日本政治、とか、政治学を説明してくれてる。メディアであまり語られないキーワードもあって、でも、読んでみると確かに重要だよなぁ、と思う選定。さすが、姜さん、やっぱり素敵。
・”暴力”・”主権”・”憲法”といったあたりは、基礎知識が少なくて、これでも、難しかった。書いてあることはわかるけど、背景が見えなくて≒理解してないので、著者が言いたい事全てがピンときてる感じではない感じ。逆に、”アメリカ”・”戦後民主主義”・”東北アジア”とかは、歴史の知識がある分、理解も深くて、自分の中には、今までなかった見方があって、新鮮。
・章ごとに、一冊ずつ本の紹介があるけど、どれも読んだことなかった。



【政治と経済】
堺屋太一さんの『東大講義録』とかを読むと、時代時代の政治は、時代時代の経済に規定されるor規定される傾向が強い感じがする。もちろん、その次の経済は、政治の影響を多分に受けるのだけど、そーいえば、早稲田大学は、政治と経済が同じ学部で法学部が別。慶応大学とか東京大学は、政治と法律が同じ学部で経済学部が別。政治と経済の距離感、政治学と経済学の距離感、思ってたより近いのかも。
でも、本書ではその近さを、全く感じない。それは、本書が政治学の入門だから?政治は経済と近いけど、政治学は経済から遠い?だからなのか、”暴力”・”主権”・”憲法”といったあたりは、コンセプト中心で難しかったというか、空中戦な感じで辛かった。



政治学と政治とその担い手】
本書は、入門書という内容なんだけど、このレベルでも、ついていける人って、今の日本に何人いるのだろうか。たぶん、このレベルくらいは、凄く大事な話とか大事な知識なんだと思う。でも、このレベルくらいでも、知識としてもってる人、それに対して自分の意見をもってる人、どうなんだろ?
大学で政治学を修めた人が母数になるくらい?でも、経済学部出身でも、マクロ・ミクロも怪しい自分を思うと、母数からどこまで落ちていくのか。逆に、会社とかで考えると、一人もいないんじゃないか、とかも思ってしまう。
世の多数が、こういった自分が属している国のあり方とか作りの基礎知識をもっていないのって、凄い。それで、国がまわってるのも凄いし、そこに興味を持たない多数の人の存在も凄い。”主権”とか”憲法”とか”民主主義”とか、居酒屋とかで語ってる集団、見た事ないよなぁ。愚痴とかじゃなくて、議論として。
そういったことを理解してなくても、関心がなくても、権利は与えられる。医学を知らなくても、生きていけるとか生きてるようなもの?それだけ、社会的なインフラが整ってるということ?



【政治の季節】
政治の季節、来るかな?来てる?それに対応できてる、対応できそうなメディア、ある?
無いなら、それは、SNSなの?
ってーか、こんだけインフラが整備されると、そこに参加する人数は、やっぱ少ない?少ないと、それって、政治の季節?多くなるには、戦死者とか餓死者とかの身近な不幸が必要なの?
そして、次の時代は、誰が?いつ?どんな?東北アジア、共同体っぽくなる?
さすがに、国民国家がなくなるのは、まだ先か。その次の70年後?だとしたら、俺は経験できないな。



【関連リンク】
Wikipedia 『姜尚中』



【目次】

はじめに 7つのキーワードで読む現代の日本
第1章  アメリ
第2章  暴力
第3章  主権
第4章  憲法
第5章  戦後民主主義
第6章  歴史認識
第7章  東北アジア
あとがき 私と政治学