『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか −アウトサイダーの時代』 城繁幸著



【所感】
・2hくらいっか。
・書斎入りが1ヶ月振りだったので、薄くて軽そうなものと思って手にしたけど、テーマとしてはかなり重かった。
・とはいえ、重かったんだけど、書いてある事は、前からそう思ってたし、友達との会話でも指摘されていた事で、目新しいことは、ほとんどなかった。城氏と同世代で、それなりの日系大企業で働いたことがある人は、同じ感想では?重かったというのは、文字だと明確に、かつ、大量に目の当たりにしたから、というのと、その現実が大変そうだから、かな。
・逆に言うと、この本が世に出る、そして、売れているというのは、もっと上の世代を中心に、昭和的価値観しか知らない人が多いということなんだろーね。
・昔の上司、今は社長さんにまでなった人が、呑みながら、滅私奉公や!って言ってたなぁ。良い上司だと思ってたけど、あの一言は違和感のキッカケだったなぁ。



【労働観】
・同一労働が同一賃金、が当面の改革の目標とされているけど、これが達成された場合、正社員と非正規社員との違いって、何が残る?まー、達成されるのも時間がかかる話だけど。
・若い子達が、昭和的価値観にゆり戻されて安定を求めているというのは、面白い。本人達は、昭和的な労働環境を知らないはずなのに。親の影響って、意外と大きいのか。メディアの影響かな。
・個人的には、行き着くのは、思想としての起業なんだろうなぁ、って、思う。本書では、独立とか自立という単語だったかな。やりたい事がまずあって、それをやるのに、ある会社がベターであれば、雇われるし、そういう既存の場がなければ、自分で作る、というような感じか。でも、起業って、面倒だなー。



【人事制度】
・読みながら考えてた大きいのは、昭和的価値観が崩壊していく中、企業側として、その人事制度はどうあるのが、ベストなのか?少なくとも、ベターなのか?ということ。本書では、その方向性やキーワードはあっても、ベストプラクティスの紹介もなかった。リクルートのCV制くらい、か。まー、世の中に無いから紹介もできないんだろうけど。
・とりあえず、うちの会社は、給与では他社と差別化ができないから、ダイバーシティーで振り切れたトライアルをしていきたい。選択肢とかメニューを用意してくところからか。本書にある昭和的価値観の逆をやれば、いいのかな。と考える時点で、本質をみてないな。



城繁幸氏】
・城氏、すごいね。書いてある内容を実感してるという点では、同世代でちょっと頭が良ければ、他の人とも差が少ないけど、それを綺麗に文章にできることが凄い。
・そーいえば、先月の朝まで生テレビ、居なかったなぁ。スケジュールが合わなかったのか、城氏が断ったのか。



【目次】

第1章 キャリア編
  昭和的価値観 1 「若者は、ただ上に従うこと」
  昭和的価値観 2 「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定してるということ」
  昭和的価値観 3 「仕事の目的とは、出世であるということ」
  昭和的価値観 4 「IT業界は3Kであるということ」
  昭和的価値観 5 「就職先は会社の名前で決めること」
  昭和的価値観 6 「女性は家庭に入ること」
  昭和的価値観 7 「言われたことは、何でもやること」
  昭和的価値観 8 「学歴に頼ること」
  昭和的価値観 9 「留学なんて意味がないということ」


第2章 独立編
  昭和的価値観10 「失敗を恐れること」
  昭和的価値観11 「公私混同はしないこと」
  昭和的価値観12 「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」
  昭和的価値観13 「酒は飲んでも飲まれないこと」
  昭和的価値観14 「フリーターは負け組だということ」
  昭和的価値観15 「官僚は現状維持にしか興味がないということ」
  昭和的価値観16 「新卒以外は採らないこと」
  コラム1      企業に求められる多様化とは
  昭和的価値観17 「人生の大半を会社で過ごすこと」
  昭和的価値観18 「大学生は遊んでいてもいいということ」
  コラム2      21世紀の大学システム
  昭和的価値観19 「最近の若者は元気がないということ」
  昭和的価値観20 「ニートは怠け者だということ」


第3章 新世代編
  昭和的価値観21 「新聞を読まない人間はバカであるということ」
  昭和的価値観22 「左翼は労働者の味方であるということ」
  コラム3      格差のなくし方