『世に棲む日日(1)〜(4)』   司馬遼太郎 著

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫)



【所感】
1冊5時間x4巻=計20時間といったところ。
吉田松陰高杉晋作を中心に、幕末の長州を描いた作品。名前は知っていたけど、両名ともに、詳しくは知らなくて、でも、”おーい!竜馬”と”竜馬がゆく”を読んだ後だったので、かなり入りやすかった。



吉田松陰
詳しいことは知らないのだけど、吉田松陰は素晴らしい人なんだろうけど。同時代に生きた人からすると、ちょっと変わってた人、エキセントリックな人だったのかな、って。坂本竜馬とかとの比較において、周りにいる人の数が、少ないような印象あり。人望があるとか、人気があるとか、そういう雰囲気が薄い。安政の大獄の犠牲になったとか、塾の門下生が明治維新でたくさん活躍するとか、そういった実績をもってようやく評価される種類の人、というか。
学校のクラスメートで、頭は良かったけど、キャラとしてクラスではパッとせず、友達もそんなに多くなかったちょっと変わった奴が、後世に大変な社会的な功績を残して、というような感じか。
でも、明治維新の過程における死の美化というか、我慢できずに死んでいく志士達の先鞭というか、近しいロールモデルとなった印象もある。



高杉晋作
辞世の句が素敵だと以前から思ってた。

おもしろき こともなき世を おもしろく

これに対して、”世に棲む日日”というタイトルも素敵。



【革命家の分類】

分類すれば、革命は三代で成立するのかもしれない。

初代は、松陰のように思想家として登場し、自分の思想を結晶化しようとし、それに忠実であろうとするあまり、自分の人生そのものを喪ってしまう。初代は、多くは刑死する。

二代は、晋作のような乱世の雄であろう。刑死することはないにしても、多くは乱刃のなかで闘争し、結局は非業に斃れねばならない。

三代目は、伊藤博文山県有朋が、もっともよくその型を代表しているであろう。かれら理想よりも実務を重んずる三代目たちは、いつの時代でも有能な処理家、能吏、もしくは事業家として通用する才能と性格をもっており、たまたま時世時節の事情から革命グループに属しているだけであり、革命を実務と心得て、結局は初代と二代目がやりちらかした仕事のかたちをつけ、あたらしい権力社会をつくりあげ、その社会をまもるため、多くは保守的な権力政治家になる。

と、出てくる件がある。機能としては、デザインする係、壊す係、創りあげる係、といったことか。この分類は、現代ではどうなるのだろうか、はたまた、国家よりも小さい組織、会社とか、事業部とか、だとどうなるのだろうか?