『おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由』 中島聡 著
おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)
- 作者: 中島聡
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/03/10
- メディア: 新書
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【所感】
2時間くらい。
【おもてなしの経営学】
ブログを読んでたからか、どっかで見聞きしたコンセプトで、ちょっと期待外れ。ブログで書いてる事を、わざわざ新書にしているのだから、当たり前で、そもそもブログでリーチできない人のため、か、ブログよりも新書の方がまとめて読みやすいから、新書にしているわけで、そういう意味では、新書を読んだこっちがバカだった。
が、梅田さんの『ウェブ進化論』も、ブログの再構成という点で、似たような新書であったけど、”論”の厚みがあった。その成功体験があるから、”学”に期待をもってしまったのかも。あー、タイトルに騙されたよなぁ。。。
せめて、マーケティングの4C的なフレームを言及してくれて、戦略の一貫性を主張してくれたりすると、嬉しかったところ。
逆に言えば、普段、中島さんのブログとかを読んでない人にとっては、かなり面白いコラム集と言える。新書で読まなくても良いけど。ただ、サービス業の人たちが、”おもてなし”を”経営”の”学”として、経営的側面から勉強しようとするには、全くもって、使えない一冊。
【アップルがソニーを超えた理由】
この話題だと、”おもてなし”という単語は、キャッチーな良い単語だと思うけど、アップルにそれが出来た理由と、ソニーにそれができなかった理由をもっとちゃんと調べて欲しかった。。。『iPhoneショック』の方がよかったかも。”iPhone”しか書いてないけど。まだ、経営学っぽかった。。。
が、しかし、アップルの凄さを”おもてなし”で纏めてしまうのは、本当に正しいのだろうか?”おもてなし”の定義にもよるが、なんというか、経営学的な分析としては、?な印象。”経営学”というタイトルをつけていなければ、こんな突っ込みはなく、あー、そですよね、で終わったのに・・・。
中島さんは、ユーザー・エクスペリエンスの訳語として、”おもてなし”を使っているのだけど、”おもてなし”はユーザーにとって、何が良いのか?そして、アップルは本当に、ユーザーをおもてなしているのか?ユーザーをおもてなししようとしているのか?
そして、また、”おもてなし”は、誰にとっても適切な戦略なのか?どんな業界でも、どんなステージでも、適切な戦略なのか?
単なるハードメーカーが、サービス業化していく方向性は、きっと正しいのだろうと思うのだけど、そこを、”おもてなし”でまとめてしまうのは、なんか、上司が酔っ払って、偉そうに語ってるだけで、”で、うちは、どうします?”って感じなのかな、この違和感は。
【マイクロソフトの裏話】
この本の価値としては、”おもてなしの経営学”ではなくて、マイクロソフトを中心としたメジャープレーヤーの裏話、と、時代の先頭を走ってきた世代が語る歴史、には、ちゃーんとあって、おもろかった。こっちを中心にした本にすれば良かったのに・・・。
【関連リンク】
著者ブログ「Life is Beautiful」
【目次】
第1章 おもてなしの経営学(ブログの再構成)
『現代用語の基礎知識』に収録された「おもてなし」
ユーザー・インターフェイスとユーザー・エクスペリエンスの違い
なぜグーグルはYouTubeを買収しなければならなかったのか?
ソウル(魂)のあるものづくり
エンジニアの美学と床屋の満足
コンシューマー・エレクトロニクス業界の将来像
任天堂のものづくりの姿勢に学ぶ
iPoneのどこがそんなに革命的なのか
アップル・コンピューターが社名を「アップル」に変更した理由
アップルはAppleTVでいったい何を実現しようとしているのか第2章 ITビジネス薀蓄(アスキーのコラム再構成)
第3章 特別対談
Part1 西村博之 ニコニコ動画と2ちゃんねるのビジネス哲学
Part2 古川亨 私たちがマイクロソフトを辞めた本当の理由
Part3 梅田望夫 「ギーク」「スーツ」の成功方程式