『竜馬がゆく(1)〜(8)』    司馬遼太郎 著


新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (3) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (3) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (4) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (4) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (5) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (5) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (6) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (6) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)


【所感】
長かった。一冊5時間x8冊=計40時間。ちょっとゆっくり読みすぎたか。『坂の上の雲』以来の司馬作品。文体にも慣れて、テンポも良く、あっと言う間の40時間。早かった。
おーい!竜馬』を読んだ直後で、登場人物の顔がそこにひきづられて、なお、読みやすかった。
高校の頃に、『おーい!竜馬』と『竜馬がゆく』を読んでれば、理解も容易、かつ深く、受験、もっと楽だったろーなぁ。。。


【竜馬】
不思議な人。司馬氏もあとがきで書いているが、型破りで類をみない。こんな人が、なぜ、あの時代に、かつ、あの時代の土佐に生まれたのか。もし、竜馬がいなかったら、歴史はどうなっていたのだろうか。清のように、欧米列強の植民地になってしまっていたのだろうか?あの時代に植民地化されていれば、太平洋戦争もなく、高度経済成長もない?今頃はどうなっていたのだろうか?


【国】
日本に限って言えば、明治維新までは、国と言えば、藩。Wikipediaによると、国家の三要素といえば、領域・人民・権力とのこと。この時代の藩は、これを備えていたといっても過言ではない。明治維新以降、日本全体を一つとする中央集権国家となる。
その背景には、欧米列強からの侵略の恐怖、があった。共通の敵に対応するために、より近い者同士協力していこー、という感じか。もちろん、前提として、移動・通信といった国を国とできる技術は必要であろう。
さて、今。環境問題、食糧問題、水問題、人類の敵ではないが、共同で解決していかなければならない、もとい、共同でないと解決できない問題があり、その影響は、日に日に、その加速度を増している。
なーんて、考えると、インターネットによる情報の世界市場、グローバル企業による資本の世界市場あたりを媒介に、今一度、国という概念が拡大される局面なのではないか?と思う今日この頃。


【革命】
明治維新の原動力、革命する側と革命される側。革命される側は、日本史上最も完成度の高かった幕藩体制。でも、これが諸々の事情で弱体化。とはいえ、体制の完成度が高かっただけに、機能しなくなっても、これが中々粘り強い。
これって、今の日本と同じと相似的では?
日本史上最も完成度の高いもう一つの制度と言える、昭和16年体制。でも、これが諸々の事情で弱体化。とはいえ、制度の完成度が高かっただけに、機能しなくなっても、これが中々粘り強い。

とすると、革命する側はどこからでてくる?
明治維新の原動力は、何と言っても、薩摩・長州。政治的な外様、地理的な辺境、堅実な経済成長、開明的な思想や教育、あたりが共通項か。
今の時代、政治的な外様で、地理的な辺境で、堅実な経済成長、開明的な思想や教育、といった条件を満たす集団って?徳川幕府の外側という意味では、今の日本の外側なのか。
愛と幻想のファシズム』では、カナダの山奥から出てきたなぁ。。。『平成三十年』では、企業家だったなぁ。。。

直感的には、法的な規制の少ない業界、グローバル市場を相手にしてる企業、といったあたりが、やはりそれにあたるのか???



【関連リンク】
高知県立坂本龍馬記念館
Wikipedia「司馬遼太郎」
Wikipedia「竜馬がゆく」
竜馬がゆくブログ


【目次】


1巻
   門出の花(19歳)
   お田鶴さま
   江戸へ
   千葉道場
   黒船来(ペリー来航)
   朱行燈
   二十歳
   淫蕩
   寅の大変(大地震
   悪弥太郎
   江戸の夕映え
   安政諸流試合(22歳)


2巻
   若者たち(24歳)(安政の大獄
   旅と剣
   京日記
   風雲前夜(25歳)(桜田門外の変)(永福寺門前事件)(26歳)(土佐勤皇党結党)
   待宵月
   頑固家老
   萩へ
   希望
   土佐の風雲(薩摩藩大軍上洛)
   脱藩(吉田東洋暗殺)(土佐政変)


3巻
   追跡者
   寺田屋騒動
   流転
   生麦事件
   勝海舟
   伯楽(28歳)
   嵐の前(29歳)
   海へ
   京の春


4巻
   神戸海軍塾
   物情騒然
   東山三十六峰
   京の政変(姉小路公知暗殺事件)(禁門の政変)
   江戸の恋(大和天誅組の乱)
   惨風(土佐勤皇党壊滅)
   片袖
   元治元年


5巻
   防長二州
   池田屋ノ変
   流燈(蛤御門の変
   変転(竜馬・西郷初対面)
   菊の枕(学校閉鎖命令)
   摂津神戸村
   薩と長
   元治の春(第一次長州征伐)


6巻
   戦雲(長州クーデター)
   薩摩行
   希望
   三都往来
   秘密同盟
   伏見寺田屋
   霧島山
   碧い海
   海戦(第二次長州征伐)


7巻
   厳島
   男ども
   窮迫(32歳)
   清風亭
   お慶
   海援隊孝明天皇崩御
   弥太郎
   いろは丸(33歳)
   中岡慎太郎
   都大路(四賢候会議)
   船中八策


8巻
   夕月夜
   陸援隊
   横笛丸
   ザボンの月
   浦戸
   草雲雀
   近江路

   あとがき1 立志編
   あとがき2 風雲編
   あとがき3 狂ラン編
   あとがき4 怒濤編
   あとがき5 回天編