『「鈍」な会社を「俊敏」企業に蘇らせる』  ルビンシュタイン・ファーステンバーク著 三枝匡監訳


「鈍」な会社を「俊敏」企業に蘇らせる!

「鈍」な会社を「俊敏」企業に蘇らせる!

所感:
難しかった。著者の言いたかった事の半分もわかっていない気がする。個別の説明は、そーだよなー、とわかるんだけど、読み終えて、一貫性というか、纏めると、何?という感じ。頭の中が秩序からカオスになった感じか。

組織論とか高度経済成長を支えた日本的経営とかある程度の基礎知識や、新規事業創出、ベンチャー投資、経営改革といったカオスに直面した経験がないと、読んでも理解が浅いと思われる一冊。

でも、なんとなく、正しいことを言っているような気はしてる。とりわけ、これからの時代は、より、そうなんだろうと思う。

グローバリゼーションによる競争の激化、インターネットによる情報伝達の高速化、日本で言えば、人口減少、少子化、旧来型構造の限界、顧客の多様化や高速変化、などなど、外部の状況がよりカオスになっている事が一つ。

もう一つは、企業内部が、そのカオス化した外部についていけない構造であること。秩序遵守の目的化、職能型組織の情報伝達遅延、意思決定ルール、経営者の技能やマインドなどなど。特に、高度経済成長の源泉と言われる日本的経営は、まったく対応ができない。

わからないけど、正しいかもと思えるのだから、まー、まずは、カオスを求めカオスに対応することを前提に物事を考えてみようと思う今日この頃。

<目次>

    日本企業は創造的経営をいかに取り戻すか − 監訳者まえがき
       日本の「暗黙の秩序」を打破する者は?
       進化の時代から革命の時代へ
       創造性に火をつけるマインド志向組織
       カオスの縁で経営する
    日本語版への序文
    プロローグ − ビジネス界を生き抜くための知恵


  第1章 マインド志向組織 − ネット時代の生命体経営モデル
       企業を生命体として捉える
       誤りから学び、情報共有するには
       大地震が生んだサンタモニカ高速道路物語
       マインド志向のプロセスが大切
       選択したプロセスを常に見直す
       結果重視か、プロセス優先か
       「過ちを犯すのが人間」であることを前提に考える
       脈略で変わる情報解釈、リフレーミングの重要性
       新しい組織像、新しいリーダー像
       頭脳の時代には認知能力で差がつく
       マインド志向と創造性の共通点
       創造的人間の特性
       創造的組織の特性


  第2章 生命体組織への変革の道 − イノベーションを生む巨大エネルギー
       複雑系の科学による未来型組織モデル
       革命の後に必ず進化の時代が来る
       目的を達成し、意味を見出そうとする意思−自己組織化
       カオスから秩序はどのように生じるか
       カオスの縁で革命的ブレークスルーが起きる
       コンピュータと人間が「共進化」する革命時代


  第3章 カオスの縁で経営する − 計画性と臨機応変のバランス
       計画を立てすぎる組織は滅びる
       半分の計画、半分の臨機応変
       鉄道モデルからタクシーモデルへ
       人こそ真の財産
       自己組織化が創造性に火をつける

 
  第4章 イノベーションを生む組織構造 − 「誤り」を戦略として活用する
       階層型組織とネットワーク型組織
       創造的緊張を最大限に活用する
       パックマンの話
       認知能力を高める
       視点を変えてみる
       老婆か、娘か、はたまた
       善か悪か − 認識と脈略の問題
       組織の創造性を高める戦略
       「誤り」を明確にする
       「誤り」はイノベーションの源泉
       「誤り」を組織戦略として活用する


  第5章 不確実性を受け入れる − カオスから秩序へ、そして再びカオスへ  
       秩序から偶発型カオスへ
       意図的カオスから秩序へ
       同時並行的認識のモデル
       飽くなき改善に取り組む
       怠慢から生じる「秩序からカオスへの移行」
       供給者、中間業者、顧客の異なる視点から捉える
       継続的再生 − IWRAM学習モデル  


  第6章 想像力を広げる − 現実世界を解釈する認識フレーム 
       数、言語、環境 − 現実世界を理解するための3つのフィルター
       金、時間、人材 − 限りある資源の使い方
       奪い合えば足らぬ − 共有地の悲劇
       フィードバック機構による調整 − 循環プロセス
       権限を伴った責任 − 人体のように機能する組織づくり
       マインド志向の家族像、組織像


  第7章 未来を現在に呼び込む − 逆向きの思考
       変化を受け入れる計画づくり
       逆向きに計画を立てる
       より少ない資源でより大きな成果を上げる
       未来の問題を早くあぶり出す
       値決めから逆算してコストを決める
       未来を今体験する


  第8章 新しいリーダーシップ − カオスの縁であらゆる困難に立ち向かう
       マインド組織思考のリーダーシップ
       強烈な目的意識を生み出す
       組織の中の「目的」の意味
       行動モデル「何事も最適バランスで」
       組織への適用 − 人体に似た概念モデル
       全体ビジョンの追求と個別部署の目標達成
       現状を定義するためのSMART
       目標状態を定義するためのSMART


  第9章 マインド志向組織の実例と教訓 − 覚悟を決めて取り組む
       数ヶ月の適応プロセスで変貌
       マインド志向組織になるための13訓
       最後に


  付録  経営科学の歩み、頭脳時代の幕開け − ピラミッドからコンピュータまで
      建築家イムホテプのピラミッド
      分業の始まり
      指揮統制型管理
      ヘンリー・フォード − 流れ作業
      事業部制、専門化、細分化
      科学的管理法
      コンピュータとコミュニケーション
      コンピュータによる解決は万能ではない