『虹の谷の五月』   船戸与一 著

虹の谷の五月 上 (集英社文庫)

虹の谷の五月 上 (集英社文庫)

 
虹の谷の五月 下 (集英社文庫)

虹の谷の五月 下 (集英社文庫)

 
 
【所感】

・南の国への旅行のお供に、船戸作品。

・今回の舞台は、90年代後半のフィリピン セブ島。リゾートの匂いしないどころか、電気も通っていない、道路もあるかないかの(ほぼ)自給自足地域の超田舎。でも、教会はあるのが、凄い。

・フィリピンの反政府勢力の限界というか凋落を背景に、自給自足地域に生きてきた人たちの資本主義経済との接点や戸惑いを感じる一冊。

・15年ほど前のフィリピン セブ島でも、田舎に行くと、まだ自給自足経済が基本で、資本主義経済との出会いで混乱する感じらしい。日本では、いつごろか、60年代とか70年代くらいか、には、資本主義経済というか流通経済に生きる人の方が多数になっていた印象あり。日本での、自給自足経済から流通経済への移行における人々の混乱って、どんな感じだったのだろうか?急激ではなく、規模も小さかったから、それほどでも無かったのか?

・仕組みの変化に加えて、貧困の問題がベースとしては大きいか。

・2013年において、流通経済よりも自給自足の方に軸足をおいて生きてる人は、どのくらいの人がいるんだろうか?この割合が90%を超えるとかが有る意味、先進国の定義かも。