『非合法員』   船戸与一 著

非合法員 (講談社文庫)

非合法員 (講談社文庫)

 

・結構、読み尽くしてきた船戸作品。
 
・舞台は、1970年代のメキシコ、アメリカ。当然のごとく、ベトナムも絡んでくる話。もちろん、主人公の日本人のエピソードには、太平洋戦争の傷跡あり。
 
・民族問題、人種差別、冷戦構造下でのパワーゲームといった背景の中で、現場はこんなんだった(かも)というのが、垣間見える一冊。第二次世界大戦後の混乱が収束しつつある時代に、混乱や変革を求めたかった人々、求めざるを得なかった人々の悲劇、そんなまとめ、か。その意味では、今は、大きく時代が変わろうとしつつある中で、今までの文脈でしか動けない人たちの悲劇の時代ってこと、か。
 
・携帯電話とかインターネットが無い頃の通信手段、電話とか伝言とか、ちょっと懐かしかった。