『経済学の終わり 「豊かさ」のあとに来るもの』   飯田経夫 著

経済学の終わり―「豊かさ」のあとに来るもの (PHP新書)

経済学の終わり―「豊かさ」のあとに来るもの (PHP新書)


【所感】
・1997年の本。
 
・経済学者が、現代資本主義の限界とか、既存市場経済の綻びとかについて、コラム風にまとめてくれてる一冊。今となっては、その限界や綻びが、1997年よりは、目に見える形になってきているので、わざわざ本書を読んで、危機感をもたなくても、いいか。
 
・できれば、限界やほころびに対する処方についても、記述が欲しかった。ここが不安だ、ここが懸念だ、これは納得いかない、って、それだけで終始してる経済学者って、どうなのよ、という気もした。本書の意図として、疑問の提示というところだろうけど、そうだとしても、疑問の立脚点が、口調がコラム風かつ情緒的で、見えにくいし、わからない。

・堺屋さんが「東大講義録」の中で、近代以降の産業化社会を見てきたこれまでの経済学では、今後の社会の変化で、フレームワークとして対応できなくなる、みたいな事が書かれていたのを思い出した次第。


 
【目次】

     序 章 愚かな過ち 「よき日本人」はどこへ行ったのか
     第1章 経済成長の幻想
     第2章 「豊かさ」の正体
     第3章 「見えざる手」の神話 − アダム・スミスの命題
     第4章 資本主義の「狂気」 − カール・マルクスの命題
     第5章 「福祉国家」の栄光と悲惨 − ケインズの命題
     第6章 経済学を超えて
     終 章 人間とは何か