『昭和史の論点』   坂本多加雄・秦郁彦・半藤一利・保阪正康 著

昭和史の論点 (文春新書)

昭和史の論点 (文春新書)

 
【所感】
・3時間くらい。

・雑誌「諸君!」で2000年に掲載されたものを、若干の補筆を入れて、新書化した対談本。

・目次見てから買えばよかったのだけど、本書は珍しく目次を見ないで買ってしまって、「昭和史の論点」とあるから、昭和全体が対象だと期待してたら、同じ昭和時代でも、昭和20年までが対象で、あてが外れてしまった。。。戦後史ゼロだった。

・17のテーマや事件ごとに、歴史家4人による対談となっていて、自分が、各人のバックグランドとか歴史認識やそもそもの歴史をみるスタイルの違いなどをあんまりわかっていないのと、対談で各人の意見の違いを意識しないで読んじゃったというか読んじゃえる大人な書き方で、せっかくの対談の面白みを満喫できず。どうせなら、このテーマの論点はここ、誰と誰は意見A、誰と誰は意見Bみたく、それぞれ理由は、ここ、という感じで、比較とか違いを明確にした構成にして欲しかった。

・なんとなくだけど、意見が割れてるポイントって、ミクロに事実がよくわからない、というケースと、大きな流れの中での影響とか前後の関係性とかのケースがあって、前者は、新たな資料の出現とかで変わってったり、それらをちゃんと見たり調べたりしてるか、という知識とか努力とかの次元で、後者は、見方とか歴史観とか、知恵とかの次元で、どっちかってーと、後者のが面白かった。たぶん、後者の違いは、見る人の世代と見る時の時代によって大きく変わってくるんだろうなぁ。




【目次】

 1 ワシントン体制     (大正10年) − 反英からのスタート
 2 張作霖爆殺事件     (昭和 3年) − 陰謀の発端と発言せざる天皇
 3 満州事変から満州国へ  (昭和 6年) − 泣く子も黙る関東軍
 4 国際連盟からの脱退   (昭和 8年) − 新聞の果たした役割
 5 二・ニ六事件      (昭和11年) − 皇道派と統制派
 6 盧溝橋事件から南京事件へ(昭和12年) − 陰謀・虐殺の事実は?
 7 東亜新秩序声明     (昭和13年) − 自主外交の突き当たったもの
 8 ノモンハン事件     (昭和14年) − 北進から南進へ
 9 日独伊三国同盟     (昭和15年) − 四国同盟への夢想
10 四つの御前会議     (昭和16年) − 戦争への道のり
11 ハル・ノート      (昭和16年) − 多くの陰謀説の検証
12 真珠湾攻撃       (昭和16年) − 「無通告急襲=騙まし討ち」の汚名
13 大東亜共栄圏              − 「解放戦争」か「侵略戦争」か
14 餓死と玉砕               − 太平洋戦争の軍事的側面
15 科学技術と戦略             − 戦艦大和零戦酸素魚雷
16 原爆とソ連侵攻     (昭和20年) − 聖断をもたらしたものは何か
17 戦争責任と戦後補償           − 謝るべきか、否か