『LEONの秘密と舞台裏』   岸田一郎 著




【「LEON」の成功】

1.発行部数

社団法人日本雑誌協会によると、2006年9月1日〜2007年8月31日の1年間の1号あたりの発行部数は、

    LEON    :  81,266

だそうな。これが多いのか少ないのか。LEONより多い、似たような雑誌は、

    サライ     : 215,500
    おとなの週末  : 132,500
    Gainer     : 120,683

LEONより少ない似たような雑誌は、

    MEN’S CLUB   :  75,625
    日経おとなのOFF :  64,766
    MEN’S EX    :  60,375
    BRIO      :  58,058
    UOMO      :  41,250

これだけ見ると、下には下がいて、上には上がいるわけで、そこそこの成功事例といった規模感っか。


2.質
①各誌が手元にないので、不明なれど、各誌の広告主の層の違いって、どないなんやろ?

②話題性という意味では、発行部数の多い他誌と比較しても、LEONはダントツか。


3.収支
知りたいところなれど、不明。
広告単価とかも知りたいところ。やっぱ、LEONは高いのかいな?




【成功要因についての考察】

1.市場:ニーズが高まる
  ミドルエイジ(40〜50歳代男性)の変容


2.競争状況:緩い
  まず、男性ミドルエイジ向けライフスタイル誌の絶対数が少ない。
  少数の先行誌とは、ライフスタイルの出し方(「道≒マニア」vs実用・オリジナリティ)で差別化。


3.LEON:一貫性、見事!

  3−1.コンセプト
      ミーハーな高所得者(≒男性ミドルエイジ)向け
      「必要なのはお金よりセンスです」→「モテるオヤジの作り方」→「チョイ悪親父」
      と、タイムリーなコンセプトの段階的成長


  3−2.コンテンツ
      ジローラモさん
      キャッチーなコピー
      ライフスタイル誌
       ≒ 見立て役としての機能
         マニアックな「道」ではなく、実用書+オリジナリティ
      ミーハー x 実用 → 購買喚起力が高い = 広告効果↑ = 広告獲得


  3−3.プロモーション
      映画で馴染みのあった「LEON」というタイトル
      ビジネスマンで満タンの山手線中吊り広告・TVCM
      話題性とジローラモさんで、PR的TV露出



【ZINOとの比較】
ZINOがLEONよりも、うまく行ってないという前提で、ZINOの失敗とLEONの成功といった比較で考えるのは有意義っぽい。
上の考察で想像すると、ZINOが上手くいくには、多くの運が必要なのでは?特に、LEONの後だけに時期が悪い、という感あり。今後の挽回は、いかに?

そーいえば、岸田さんがLEONからZINOへと独立される中で、「LEONの大衆化」という単語を使っていらした。流行りすぎたという事か。




【関連リンク】
LEON
@ZINO
オールアバウト社プレスリリース


【目次】

はじめに

第1章 モテる雑誌はこうしてできた −LEON成功の舞台裏
       なぜ、「ミドルエイジの男性向けライフスタイル誌」なのか?
       読者の「数」ではなく「質」
       私が求めた「実用とオリジナリティ」
       「モテるオヤジ」がウケた理由
       トレンドを先導あるいは煽動する
       「費用対効果」という視点

第2章 LEON前夜・前半 −カリスマエディターの修行時代

第3章 LEON前夜・後半 −カリスマエディターの誕生譚

第4章 岸田一郎の雑誌ビジネス論
       ライフスタイル誌は「見立て役」
       雑誌が売れるメカニズム
       ライフスタイル誌に正解はない
       編集長であることの責任
       編集長のリーダーシップ
       出版不況の原因
       「記者クラブ制」の弊害
       広告に依拠するということ
       ハッピー・トライアングル
       マスかラグジュアリーか
       オヤジの世代交代論
       「モテるオヤジ」という仕掛け
       本音のコミュニケーション
       Begin時代の仕掛け
       リアリティと説得力
       力の源としての企画力
       道を立てればお洒落が引っ込む
       次に来る流行を作る
       ブームの火を焚き続ける
       雑誌編集者の錬金術
       モテるオヤジはどこまで続く
       お門違いのLEON批判
       勝負と博打の大いなる違い
       「超付加価値」が求められる時代
       優れた雑誌のコピーとは
       私のスタッフ、私の人脈
       再び「ビジネスとしての自覚」について

あとがき