『ゼミナール経営学入門』   加護野忠男・伊丹敬之 著


ゼミナール 経営学入門 ゼミナールシリーズ

ゼミナール 経営学入門 ゼミナールシリーズ


【所感】
・はしがきにもある通り、「生きた経営学の教科書」。雰囲気的には、大学の学部で履修する経営学の学生向け教科書という印象。なので、個別テーマの深堀というよりは、全体の体系化、各論の論点整理、と、広く浅くの内容。
 
・本書が他と違うなぁ、と興味深かったのは、第3部の矛盾と発展のマネジメント、というところ。この部分に言及してる本って、あんまりみないけど、この部分が、経営の面白いところ、かつ、経営学として難しいところ、と思うから。ここが、本書の初学者向け入門書として秀逸なところ。
 
・2003年の第3版を読んだのだけど、10年も経たないうちに、各論においては、古さを隠せないところはあるかな。第6章の国際化の戦略、とか、第21章のコーポレートガバナンス、とか。でも、初学者が最初に目にする一冊としては、第三部があるから、本書はまだ十分にいけてると思った次第。


 

【目次】

     序  章 企業のマネジメントとは
            1 企業とはどんな存在か
            2 マネジメントとはどんな行為か
 
 第1部 環境のマネジメント
     第 1章 戦略とは何か
     第 2章 競争のための差別化
     第 3章 競争優位とビジネスシステム
     第 4章 多角化と事業ポートフォリオ
     第 5章 企業構造の再編成
     第 6章 国際化の戦略
     第 7章 資本構造のマネジメント
     第 8章 雇用構造のマネジメント
 
 第2部 組織のマネジメント
     第 9章 組織と個人、経営の働きかけ
     第10章 組織構造
     第11章 インセンティブシステム
     第12章 計画とコントロール:プロセスとシステム
     第13章 経営理念と組織分化
     第14章 リーダーシップ
     第15章 人の配置、育成、選抜
 
 第3部 矛盾と発展のマネジメント
     第16章 矛盾、学習、心理的エネルギーのダイナミックス
     第17章 パラダイム転換のマネジメント
     第18章 企業成長のパラドックス
     第19章 場のマネジメント
 
 第4部 企業と経営者
     第20章 企業という生き物、経営者の役割
     第21章 コーポレートガバナンス

 第3部 矛盾と発展のマネジメント
     第16章 矛盾、学習、心理的エネルギーのダイナミックス
            1 生まれてくる矛盾
            2 矛盾と発展のマネジメント
            3 学習のダイナミズム
            4 心理的エネルギーのダイナミズム
            5 学習とエネルギーの相互作用と矛盾のマネジメント

     第17章 パラダイム転換のマネジメント
            1 バラダイム転換のむつかしさ
            2 パラダイム転換のマネジメント:4つのステップ
            3 パラダイム転換としての脱成熟化

     第18章 企業成長のパラドックス
            1 失敗の効用
            2 辺境の創造性
            3 オーバーエクステンション
            4 ゆれ動き
            5 パラドックス・マネジメントの本質

     第19章 場のマネジメント
            1 場の定義と機能
            2 場の位置づけ、場のメカニズム
            3 場のマネジメントとは
            4 マネジメントのパラダイム転換