『群狼の島』   船戸与一 著

群狼の島 (徳間文庫)

群狼の島 (徳間文庫)


   
【所感】

・舞台は、1975年のプロローグがあって、メインは、1980年のマダガスカルマダガスカルの現代史とか、かけらも知識なかったけど、植民地からの独立 → 貧しいので、社会主義陣営か資本主義陣営か、みたいな誘惑 vs 民族主義 → 混乱 という戦後の独立国にありがちな状況。知らんかっただけに、マダガスカルの雰囲気、知れてよかった。
 
・スパイというか諜報活動してるキャラクターで出てくるのが、ソ連と中国というのは、珍しいのかしらん。華僑って、いつの時代でも、どこにでもいるのね。印僑もでてきたか。
 
・例のごとくの船戸作品。話のスケールとしては小さ目か。時代は、やや古めか。船戸作品に慣れてきたのもあって、舞台と時期の違いくらいで、目新しさはあんまりなかったか。本書のテーマの復讐が好みでない、という気もする。復讐って、小説とかのテーマになりやすいけど、あれって、なんでやろか?世間的には、結構、受けがいいのかも。その辺は、赤穂浪士の時代から、同じか。
 
・しかし、今思うと、80年代って、昔だなー、というか、今とは違うなぁ。日本でもそうだけど、80年代の途上国って、首都でさえ、ホントにインフラも何も無いというか、現代日本人からすると、不便極まりない環境だったろうなぁ、っと。そのころのバックパッカーと、今のバックパッカーって、全く違うようにも思う。海外出張とかも、かなりお気軽な話になったし。今なら、バックパッカー、挑戦できそうだけど、80年代にバックパッカーとか、自分には、かなり無理な気がする。。。
 
・本書の登場人物みたく、実践で使えるレベルで、空手とかできると、80年代の途上国にもバックばっかーでいけたかも。